ペップバルサがついに、最初のタイトルを獲得した。11年ぶりとなる、国王杯優勝。
ゲームは序盤、アスレチックのペースで進んでいる。スタジアムに詰め掛けたおよそ2万人のビルバオファンたちの熱い声援を受け、バスクのライオンが主導権を掴みにきたのだ。これにはバルサも、圧倒された。チャビ、ケイタ、ブスケによる中盤はアスレチックの圧力に、パスを回すことができなかった。
そしてわずか9分、チェルシー戦第2戦と同じ時間に、バルサは先制を許すこととなる。右からのコーナーキックを、ファーのトケーロに頭で合わされてしまうのだ。チャビとケイタが競り合ってはいたものの、トケーロのジャンプは頭ひとつ抜け出していた。スタンドの半分を占める、バスクファンは大いに盛り上がる。
だがペップバルサにとって、この失点はむしろ起爆剤となる。これがカンペオンの反応だ。1-0となった後から、序盤は上手くいかなかったロンドが徐々に回り始める。これにアスレチックは激しいタックルで対抗しようとするのだが、カパーロス監督が前日に言っていたような、ラフなプレーとまではいかない。遠慮しているわけではないだろうが、アンチフットボルは行われず。そしてバルサが必然的に、ボールの主となっていくのだった。
試合の転機となったのは、31分の思いがけぬプレーである。ハーフラインからドリブルを開始したトゥレ・ヤヤが、デフェンサたちを一人、二人、三人とかわし、エリア手前からズドンとミドルシュートをゴール右隅に叩き込んだのである。まるでメッシのようなドリブル、そして強烈な右足砲。そういえばこの人、フランス時代はこういうプレーが大得意だった。
この同点弾は、明らかにアスレチック選手たちの士気にダメージを与えたようだった。バルサが勢いを増すのとは反対に、萎んでいくバスクのライオン。前半はそのまま、バルサペースで終了する。
ハーフタイムが明けても、ゲーム展開に変化はなかった。むしろ、バルサのプレーはさらに良くなっていた。弱っているアスレチックを一気に畳み掛けようと、ギアを上げていくバルサ。そして55分、バルサにとっては最高の、ビルバオにとっては最悪の選手が得点を決めた。レオ・メッシである。この日もメッシは、数多くのファールを受けて地面に倒れていた。そのお返しとばかりの、このゴール。実に爽快だ。
メッシからエトーにスルーパスが繰り出され、エトーはエリア深く切れ込んでシュートを放つ。これはデフェンサによって跳ね返されるのだが、そのこぼれ球を受けたメッシが、思い切りよく左足を振りぬいた。彼の前には4人ほどのビルバオ選手がいたが、そんなのお構いなし!さすがは我らがクラックだ。
ここからのゲームは、バルサ一色といえる。その直後にはエトーが決定機を外す場面もあったが(エトーは気合入りすぎ^^)、それもご愛嬌。今季コパで素晴らしい仕事をしてきたボージャンが、流れを完全にバルサのものとする追加点を決めてくれたのだから、まったく問題ない。
57分のカウンターアタック。センターサークル上のメッシから左のスペースへとパスが流し込まれ、それをエリア手前でボージャンが受ける。そして若きカンテラーノはじわじわと持ち込み、ここぞのタイミングでゴール右隅に向かい、狙い澄ましたシュートを流し込んだ。まるでアンリ!まさに生まれついての点取り屋、といったゴールだった。
1-3となり、アスレチックの望みは絶たれた。カパーロスは選手交代でなんとか流れを変えようとするが、ピントの守るエリアにはボールも運べない。そして容赦ないバルサが64分、試合を終わらせるゴールを決めるのである。
今度のゴール主は、チャビだった。メッシへのハードタックルによって得たフリーキック(エリア左角)を、ゴール左上角に入れてしまうのだから、エグい。GKゴルカは「まさか!?」といった様子でジャンプするも、その手は届かなかった。
4点奪えばもう十分なのだが、それでも攻撃の手を緩めず、5点目を獲りにいってしまうところがバルサらしい。実際、チャンスも数度作り出していた。一方でスタンドからは、「ペップ、メッシを下げてくれ!」の声も聞こえたが、カタラン監督は我が道を行く。結局、交代したのはチャビ、ボージャン、トゥレの面々。それもすべてが80分を過ぎてからだった。
そんなこんなで、無事怪我人もなく、バルサ25回目の国王杯優勝!ゲーム後、コパを囲んで喜びを表す選手たちの表情は、本当に幸せそうだった。これで、まずはタイトルひとつ確保。リーガも事実上手中に収めており、俄然、トリプレッテへの夢が膨らんできた。コパキング、そしてフットボルキングのペップバルサ!おめでとう!!
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