ガンペル杯=夏のフィエスタのイメージも定着したようで、今回も94,123人もの観客でスタンドは埋め尽くされた。ただし、多くは観光客。キックオフ前には、ジャルケを偲んでの黙祷が行われた。
このお祭りに、ペップ・グアルディオラは主力を複数“温存”し、カンテラ山盛りチームを送り出している。スタメンに、モントーヤ、フォンタス、ペドロ、ジェフレン。途中出場にバルトラ、チアゴ、ジョナタン・ドスサントス、ガイ・アスリン、ムニエッサ。地元ファンへのサービスとはいえ、きわめて実験的なメンバーである。
一方のマンチェスター・シティは、アデバヨールとロビーニョが召集外だった。
前半、バルサはいつものようにボールを支配し、パスを展開。しかしギアは低めであり、シティを脅かすプレーはそう多くはなかった。シティの戦術は、こちらもよくあるボールを譲ってのカウンターのチャンス待ち。テベスとペトロフのスピードに賭ける作戦だ。
バルサの決定的チャンスは25分。右サイドのジェフレンが電撃ドリブルで切れ込み、角度のないところから鋭いシュートを放ったのだ。しかしこれはGKギブンがどうにか足先でクリア。こぼれ球をボージャンが拾うも、彼のシュートはバー頭上を越えていった。
だがカンプノウが大いに盛り上がったその直後、シティはまんまとカウンターでの反撃に成功する。センターサークル付近から左サイドを駆け上がるペトロフ前のスペースへとボールが流し込まれ、そのままペトロフはエリア際から強いシュートをゴール左隅に蹴りこんだ。やられた!アトレチコ時代から、この人には弱い。
0-1で迎えた後半、ペップは一気に6人の選手をピッチに送り込んだ。その中には、アルベスにメッシ、そしてイブラヒモビッチの姿が。中盤はケイタ、チアゴ、ジョナタン。お祭りだから見れる、初々しい顔ぶれだ。
まずは同点に追いつくべく、バルサは激しくマンチェスターのゴールに迫った。しかし実験的チームのため、バルサらしい連携で相手の守りを崩すには至らない。スタンドが沸いたのは、70分のジョナタンによるクロスバー直撃のロングシュート!この選手、将来を期待させるものを持っている。
注目のイブラヒモビッチは、まずまずといったところだった。67分にはチアゴのセンタリングに頭で合わせるも、惜しくもボールはポスト右。その前後にはライン裏への抜け出しを見せているし、成功はしなかったものの、その仕掛けは今後もバルサの武器となるだろう。84分にはポストとなり、メッシへのスルーパスを供給。88分にはエリア密集地帯でのヒールシュート。ファンが楽しみにするズラタン流のその片鱗を、今回は垣間見ることが出来た。
ゲームはバルサが押し込みながら、あと一歩運と決め手を欠き、ネットを揺らせない展開。89分にはまたもポスト直撃弾にてゴールを逃しているし(メッシのミドルシュート)、その他、GKギブンの活躍により、幾度かチャンスを阻まれている。
そしてそのまま、ゲーム終了を告げるホイッスル。シティが非常に効率よく勝利を手にすることとなった。幾分漂う、不条理感。悔しいが、それもフットボルだ。メッシやイブラはやはりボール扱いが抜けているし、チアゴやジョナタンら未来の宝石たちが存在感を出したのも良かった。今回はそれを収穫とし、満足するとしよう。フルスタメンが揃えば、かなりやってくれそうな予感。本格的シーズン開幕が、いよいよ楽しみだ。
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