延長120分に及んだゲームを制したのは、FCバルセロナだった。勝負を決めたのは、メッシとペドロのカンテラコンビネーション。
UEFAが気合を入れるショーゲームとあって、ペップはベストの先発をピッチに送り込んだ。だが自陣に引いてチャンスを窺うシャクタールを前に、プレーのリズムは低調だった。万全の状態でないアンリは、見せ場は作るもいつものキレはなく、イブラヒモビッチはアシストにより気を配っている感じ。トリデンテでもっとも気持ちが入っていたのはメッシ。だが厳しいマークに遭い、思うようにはプレーできなかった。
ボールを譲り、守りに専念するシャクタール(時にはラフに)と、ペップが不満を漏らす状態の悪い芝生。上がらないプレーのリズム。予想された展開とはいえ、特にこれといった盛り上がりもなく、退屈なまま前半は終了していった。
後半も、流れは変わらなかった。じっと守り、チャンスを窺うシャクタール。組織立った守りに、手を焼くバルサ。ハーフタイム前との違いは、少しずつドネツクに疲れが表れるにしたがい、ハードプレーが増加したことだ。
70分ごろからは、バルサに連続してチャンスが訪れる。だが決め手に欠き、ゴールには至らない。ここで両監督はゲームの流れを変えるため、選手交代を行った。ペップはイブラを下げてペドロを投入。シャクタールもその直前にふたりを交代させている。
90分を戦っても両チーム無得点。延長に入り、両チームは途中出場した選手たちが輝きを見せていた。バルサはアンリに代わって出場したボージャン。シャクタールは昨季の対戦でもバルサ相手に2ゴールを決めているアガホワ。彼らは共に、相手ポルテーロを脅かすプレーでスタジアムを沸かせている。
しかしバルサもシャクタールも、延長前半のプレーはいまひとつ。疲れ、集中力の途切れ。全体的に不正確なプレーが多かった。
だが延長後半に入ると、ゲームはバルサ一色となる。ペップのゲキ、指示が効果を発揮した模様だ。メッシ、ボージャン、ペドロのカンテラトリデンテが個人技とコンビネーションでシャクタール守備陣をピンチに陥れていく。そして115分、ついにその瞬間は訪れた。
エリア左サイドからペドロがドリブルで切れ込み、中央際のメッシへとパス。ここでメッシが絶妙のコントロールの後、ぽっかりと空いたエリア内にスルーパスを送り込むのだ。これをペドロが受け取り、そのままゴール右隅へとシュート!この日いい活躍をみせていたGKピアトフの横っ飛びをすり抜け、ボールはネットを揺らすのだった。
この夏、最大の発見であるペドロ。プレシーズンから数えて5得点は、チーム得点王だ。本シーズンでも起爆剤として、あるいはメッシやアンリを休ませる貴重な戦力として、存分に働いてくれることだろう。バモス、ペドロ!
こうして、苦労の末にバルサは今季2つ目、2009年5つ目となるタイトルを手に入れた。スーペルカンペオン。収穫は過去のエラーを教訓とし、同じ失敗を繰り返さなかったことだ。このチームであれば、今季も集中力を失わず、最後までファンに喜びとどきどきを与えてくれるだろう。そう確信する。
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