内容はもうひとつながら、勝利できたこと(しかも3点取れた)ので満足のいく開幕戦だった。
この試合、ペップはメンバーのやり繰りに苦労していた。マルケスとイニエスタは復帰までもう少しであり、金曜にモナコで悪コンディションでの延長戦を戦ったことにより、主力には疲労が残されている。メッシは代表に合流して不在。トゥレとアンリを休ませたので、ボージャンにペドロ、ブスケ、マクスウェルら、フルメンバーならベンチかなという選手たちが先発に名を連ねた。
ゲームは最初からバルサが圧倒的にボールを支配するが(7割強)、どうも身体が重そうでボールのリズムも良くはない。スポルティングは前半は特に自陣に引いて守備固め。当然スペースはなく、期待されたポストマン・イブラも卓越したキープ力は見せるものの、脅威とはなれなかった。
最初の得点機はスポルティング。10分、左サイドを起点にボールを回され、ヒヤッとするシュートを打たれている。この日は守備も不安定な場面が多かった。
しかし先制点はバルサだった。18分、チャビの左コーナーをニアのケイタが頭ですらし、ファーのボージャンが同じく頭で押し込む。おそらくは、何度も練習していたプレー。戦術的にゴールが奪えると、とても助かる。
均衡が破れた後も、ゲームの流れは大きくは変わらなかった。バルサが支配し、ヒホンが守る。全体に重いバルサの中で、目立っていたのはボージャンとケイタだ。ここ数試合のケイタはとても生き生きとしていて、この日もさらなる活躍をみせる。42分、チャビの変則的コーナーを受けたアルベスからのセンタリングを、今度は自らズドンとヘッドでネットに突き刺したのだ。本日の空中王はケイタで決まり。
ちなみにこのケイタ弾で、プレシーズンから続くカンテラ選手得点連鎖(19)に終止符。ボージャンの先制点が、最後となった。
後半も変わらず、バルサがボールを回し続けた。支配率はやはり7割強。しかし決定的なチャンスはなかなかに訪れない。モナコの英雄ペドロも、この日は別人のように大人しい。ボールを受けるのはエリアから離れた位置で、縦への切れ込みやスペースへの飛び出しも見られない。若いとはいえ、さすがに疲れには勝てないか。
バルサにとっての不幸は、マクスウェルとボージャンが負傷による交代となったことだ。特に前線で一番光っていたボージャンの怪我は、チームにとって痛い。軽傷であることをただ祈るのみ。適応期間中のマクスウェルも同様だ。
せっかくの地元開幕戦をフィエスタにしたい観客たちの望みは、出来ればズラタンゴールが見たいというものだった。この日のイブラは、まだ周りとの連携がぎこちなかった。メッシとは見られたようなつながりも、今回はなし。まだまだバルサ流を模索中のクラックだ。
しかし82分、彼は抜きん出た反応でファンを沸かせることになる。こちらもコーナーからの一連のプレー。右のアルベスが上げたクロスは相手デフェンサの頭に当たってコースが変わるのだが、それでもイブラヒモビッチは長身をえいやと伸ばし、ダイビングヘッドでネットを揺らすのだった。もっとも気に病む移籍初ゴールを、開幕戦でゲット。これでズラタンもホッとしただろう。
こうして内容はともかく、バルサは大事な開幕戦を白星で飾った。主力を多く欠きながら、中二日で疲れを感じながら、押さえるポイントはしっかり押さえてヘディングで3点奪って勝ったのは、らしくはないが合格点。シーズンは始まったばかりだ。まずはいいスタートを切れたことを喜ぼう。
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