チーム完成度ではバルサがインテルを圧倒。だが最後の詰めに決め手を欠き、ゴールを奪うことが出来なかった。良くも悪くもない、まあまあの結果。
両先発メンバーに驚きはなかった。ペップはここ数試合の流れを汲んだ11人をピッチに送り出し、先発予告を行ったモウリーニョも、その言葉通りのメンバーで試合に臨んでいた。
インテルは序盤から、勢いよくプレスを仕掛けてきた。しかしバルサも負けてはいない。この日は最初から一気に相手ゴールを陥落させることを狙っていた。10分のうちに決定的なチャンスを2度、作り出すのである。一発目は2分、カウンターからメッシが単機突破しての強烈なミドルシュート。二発目が8分、こちらも速攻。アルベスのロングボールにイブラヒモビッチが抜け出し、華麗な胸トラップからシュートを放っている。だがメッシのシュートはGKセサールの好守により、イブラは堅くなっていたのかシュートをふかし、ゴールには至っていない。
ゲームはその後、拮抗したものとなっていく。バルサはボールを支配するものの、エリア付近ではアイディアがなかった。そして25分を越える頃からは、流れはインテルへ。28分には速攻からミリートがエリア内で鋭いシュートを打ちバルデスを脅かすと、32分にはスナイデルのミドルシュート。このあたり、守備がドタバタする時間帯となっていた。
だがインテルの攻撃を凌ぎきると、前半終了間際にもう一度バルサにチャンスが訪れる。40分、遅攻からのチャビの浮き球パスにアルベスが抜け出し、セサールを引き出しておいて狙い澄ましたバックパス。これをケイタがフリーでシュートするのだが、惜しくもボールはポストの左を抜けてしまった。これが決まっていればなぁ。44分、メッシの強烈なシュートもセサールに弾かれ得点ならず。
後半はまず46分、スナイデルのシュートで幕が上がる。これはわずかにポスト右。しかしインテルの攻勢は、すぐさま見られなくなってしまう。後半はほぼ完全にバルサ一色。インテルはずるずると自陣に押し込まれ、守備に追われることになったのだ。彼らの後半唯一のチャンスは66分、カウンターからミリートが粘り、途中出場のスタンコビッチが強いシュートを打ち込んだ場面だった。
そんな相手を、バルサは崩しきることが出来なかった。パスは回るものの、様子を窺うようなショートパスが中心。エリア内に押し寄せることもなく、かといって中・長距離弾を積極的に狙っていくこともない。インテルの守備は決して組織的に洗練されたものではなかったが、それでも人数をかけて守られてはなかなかチャンスは作れなかった。バルサにはもうひとつアイディアが不足していた。
残り時間が15分を切り、ペップはアンリ(まだまだ好調には遠いリズム)を下げてイニエスタをピッチに送り込む。これはもう少し早くても良かっただろう。だがバルセロニスタの願いも空しく、ドンの登場でもゲームに変化は訪れなかった。エリア周辺でパスは回せるのだが、インテルに致命的となるボールは出ない。シュートも多く放てなかった。
そしてゲームは終了する。圧倒的にゲームを支配しながら(後半だけなら、7割強か)、それを勝利に結び付けられなかったバルサは勿体なかった。課題は急所をえぐるような縦へのパスと、もっと積極的なシュート姿勢となる。一方のインテルはカサでの試合ながら、成熟度不足を露呈。中盤でゲームを作るに至らず、結局はカウンター一本狙いとなっていた。ただ失点しないことだけを目指した後半は、モウリーニョのチームとしては寂しいものだった。
ただバルサにとっては、フエラでの初戦で1ポイントを持ち帰れたのは評価できる。インテルに3ポイントを与えなかったので、これはこれで良し。他2チームとの試合で気を抜かず、カンプノウでインテルを叩けば、それで問題はない。
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