試合後にペップに、「今日ほど選手たちの仕事ぶりを祝福したい日はない」と云わしめたゲーム。マラガのラフなファイトに忍耐強くプレーし、そして勝利をもぎ取った。汚れた試合を演出した主審デルガド・フェレイラは去年、あのエスパニョール戦を裁いた審判である。納得。
火曜日のラシン戦にて足首を痛めていたイブラヒモビッチは、ベンチスタートとなる。代わりにセントロを務めたのはアンリ。メッシの“偽9番”作戦も考えられたが、ペップはティティを中央に据えた。
序盤はマラガの勢いにバルサは押される。彼らは非常にアグレッシブであり、バルサボールへのプレッシャーはなかなかのもの。そしてただ激しいだけではなく、必要とあらばラフプレーも辞さないのが感心できない。それもすべて、フェレイラ主審の認可あってこそである。
7分には、マラガのあわや先制点というプレー。オビーニャが最終ラインの背後を奪ってバルデスと1対1の場面を作り出したのだ。しかし角度が残されていなかったことで、オビーニャのシュートは右サイドネットを揺らすのが精一杯。ただ胆は冷えた。その後も15分頃までは、マラガペースで進んでいく。
だがバルサを圧倒する勢いを持続することなど、並みのチームに出来ることではない。徐々に彼らのガソリンは減っていき、20分頃にはバルサは落ち着いてプレーが可能となっていた。ただ、不運もチームを襲っている。24分、クロス系シュートを放った際にアンリが太ももを痛め、急遽イブラヒモビッチと交代せざるをえなかったのだ。
アンリが去り、イブラが登場したことは、結果としてバルサに吉となった。もはやバルサ攻撃オプションに不可欠な選手である彼は、いきなり存在感を発揮。わずか2分でペナルティであるはずのプレーをマラガに起こさせると(審判はこれを無視)、37分にはペドロの絶妙パスからラインを抜け出しフリーとなってシュート。残念ながらこれは仕留め損なうも、その1分後にはゴールを陥落してみせたのである。
エリア前でのパス回しのあと、メッシからのふうわりとした浮き球スルーパスにズラタンが反応、ラインを突破してボールを受けると、アクロバティックな右アウトサイドのキックにてムヌアを料理した。ブラボー!美しきコンビネーション哉。最初の枠内シュートにて、先制点を獲得。
1点をリードして後半を迎えたバルサだったが、その出来栄えは芳しいものではなかった。ボールは回せど、チャンスは作り出せない。しかしツキというか効率性には優れていて、初めての枠内シュートがゴールに入ってしまうから判らない。58分、今度は長距離からのフリーキックだった。チャビから送り込まれたボールは、エリア内密集地帯での場所取り合戦に勝利したピケの元へ。ピケはするりと混戦を抜け出し、ジャンプ一番、右足ボレーにてマラガゴールを揺らしてみせた。
このゴールは、マラガの気持ちを挫けさせた。そしてその直後に、3点目のチャンス到来。チャビのスルーパスにメッシが抜け出し、そのまま猛然とドリブル突破。単独でエリア内まで持ち込むのだが、デフェンサのぎりぎりのタックルとGKムヌアのぎりぎりの突込みによって、シュートには至れていない。73分にも決定機。メッシとペドロのコンビによって右サイドを破り、センタリングをドフリーでピケがシュートするのだが、これはクロスバー上方を飛び去っていった。
その後もゲームは、バルサが支配。付いていけなくなったマラガはこれに、ラフなファールで応戦した。あのルケまでもが、悪質なファールにて一発退場になるのを見るのは悲しいことだ。しかし酷し、デルガド・フェレイロ。一方でバルサはファールに苦しみながらも、黙々と自分たちの仕事をこなし、きっちりと3ポイントをもぎ取っている。この姿勢が素晴らしい。その努力は、きっと最後に大きな形となって報われるだろう。ビスカ・バルサ!
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