少々ディナモの頑張りに手こずりはしたものの、特に問題もなく、2-0の勝利。グループFの首位に立ち、リーグ突破に一歩前進した。
かつてカンプノウにて幾つかの逸話を残してきた、ディナモ・キエフとの対戦。しかし十数年の月日を経て、両クラブのポテンシャルには大きな開きが出来ていた。この日もプレーではバルサが圧倒。ボール支配率は7割にもおよび、もしもっと攻撃時の正確性がこちらにあり、GKショフコフスキーの好セーブ連発がなければ、ゴレアーダとなっていただろう。
最初の見せ場はディナモによるものだった。4分、左ラテラルのマグラオがエリア内に侵入し、強烈なシュートを放つ。ボールはサイドネットに突き刺さるのだが、ファーにフリーの選手がいただけに、こちらに送られると危なかった。
だがその後のバルサのボール支配は揺るぎのないものだった。しかしこの試合はどうもパスのつながりが悪く、ディナモの組織を深くえぐることがなかなか出来ない。いつもなら通っているようなボールが相手にカットされ、ショートカウンターを招く、の繰り返し。主導権は完全にこちらなのに、細かいエラーで波に乗れないという、もやもやした展開となった。15分にはメッシのスルーパスに抜け出したイニエスタが明らかに強引に引っ張られて倒されるも、主審はペナルティの笛を吹かず。あれはちゃんと見ていてほしい。
21分には、あわや先制点を奪われそうにもなる。右コーナーのボールをクリアしきれずにいるところを、エリア内の大混戦の中からもう少しで流し込まれそうになったのだ。危ないボールを寸前でアルベスが掻き出し、こぼれ球へのミドルシュートも仲間に当たって枠を外れた。冷や汗の出る場面だった。
ただ、ピンチのあとにチャンスあり。25分、ショートカウンターからの攻撃だった。アルベスがボールをカットし、隣のイニエスタへとパス。ドンはすかさず右前方のメッシへとボールを送り、メッシは得意の中央へ切れ込むドリブルでエリアを切り裂くと、ズドンとゴール右隅にシュートをねじ込んだ。チームが困った時、いつも仕事をしてくれるクラックの偉大さよ。
このゴールにより、ディナモの勢いは弱まった。試合終了のホイッスルが吹かれるまで、チャンスらしいチャンスはゲーム終了間際88分のブスケツの不用意な頭でのバックパスをミレフスキに奪われ、バルデスが身体を張ってこれを凌いだ場面くらいか。41分にはフリーキックからネットを揺らされるも、これは線審がよく見ていてオフサイド判定で無効となっている。
逆にバルサは、惜しいチャンスの連続。チャビのミドルシュートや2列目からの飛び込みあり、イブラヒモビッチのトリッキーなシュートやヘディングシュートあり、特に前半はなにかと楽しませてくれた。GKショフコフスキーが当たっていなければ、楽に勝てたのに。
待望の追加点が生まれたのは、76分のことだった。メッシが中央深い位置から左方面へドリブルで持ち込み、イブラヒモビッチにスイッチ。当然デフェンサの意識はこの長身クラックへと吸い付けられ、その隙を突き、ボールはエリア内中央のペドロへと送られるのだ。ペドロは上手いボールコントロールからコースを作り、左足を一閃。シュートはショフコフスキーの手の届かないゴール左隅へと流れ込んでいった。
勝負の行方は、これにて決着した。前述したように終盤に守備的エラーから際どいシーンはあったが、ゴールを守りきっての2-0勝利。インテルがロシアにてつまづいたため(1-1)、バルサが単独首位となり、1位通過に向け優位な状況を手に入れた。
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