クラブ記録に並ぶ、リーガ開幕6連勝を達成したペップバルサだったが、この日のプレーには見慣れた輝きはあまり見られない。チームに3ポイントをもたらしたのは、ペドロのゴラッソ弾だった。
カンプノウを訪れるにあたり、敵将ウーゴ・サンチェスは「昨年のエスパニョールのようにいく」と、ハードな肉弾戦を予感させるコメントを発していた。しかし実際に、彼が採用してきたのはバルサの心臓であるチャビ封じ作戦。まずバルサの長所を消し去ることを、徹底的にアルメリアは試みた。
チャビに前を向いて自由にボールを蹴らせない。ウーゴ・サンチェスはチコに対し、密着マークを命じていた。どこへいくにも、チコが付いてくるチャビ。あまりに徹底的ゆえ、彼は最終ライン前にまで下がり、マーカーを引っ張り出すことに専念する。その空いたスペースには、マルケスが積極的に顔を出した。またメッシが中盤にまで下がり、ゲーム作りに参加する。
最初のチャンスは9分だった。引いたメッシから左のペドロへロングパス。ボールはイニエスタへと渡り、エリア内に上がってきたメッシへと絶妙の弧を描くパスが飛び出すのだ。フェイントでデフェンサをかわし、シュートを放つ10番。しかしシュートはわずかにポスト左を掠めて得点ならず。ボールはこの頃より、圧倒的にバルサ支配となっていた。
だが17分、アルメリアはあと一歩で先制という場面を手にする。マクスウェルのパスをカットしたミチェルが勢いに乗りエリア際まで進攻、そのボールを受けたクルサがゴールライン縁から折り返す。これはバルデスが弾き、さらにブスケツが掻き出すのだが、ヒヤッとさせられるシーンだった。
ピンチのあとは、チャンスあり。18分にはバルセロニスタのため息の絶好機。マルケスからのロングフィードを受けたイブラヒモビッチがエリア右端で粘り、マークをかわして絶妙のクロスを上げる。ここに飛び込んだのがチャビ。しかしそのボレーシュートはGKに当たって左ポストに跳ね返り、詰め寄ったペドロのシュートもまた同じポストに阻まれた。ついてないなぁ。
そして23分には、メッシに対する明らかなエリア内でのファールが見逃され、主審はメッシに対しダイブへの警告。またもバルサはペナルティをとってもらえない。審判はもっと近くでしっかりとプレーを見るべし。
めげることなく、その後もバルサは攻め続けた。そのご褒美が、31分のペドロの先制点だ。イブラが左サイドで囮となり、マクスウェルとパス交換。そしてマクスウェルからボールを受けたペドロが、振り向きざまに豪快なキャノン砲をゴール右角に突き刺したのである。それまではあまりしっくりいっていなかったペドロのゴラッソにより、バルサはついに均衡を破ることに成功した。
後半になると、ゲームのリズムは低下した。バルサがボールを支配しているのに変化はないのだが、エリア付近での攻めにキレがない。穴を探そうとあれこれ回すも、結局は崩しきれずにミドルシュートという場面が多かった。惜しかったのは75分、トゥレ・ヤヤからのボールを受けたイブラヒモビッチのコースを狙ったシュートが、GKヂエゴ・アルベスに掻き出された攻め。ズラタンのリーガ開幕連続ゴール記録は、“5”で止まった。イブラは誕生日をゴールで祝えず、残念。
アルメリアはとにかく、自らの攻めのパターンを放棄してまでも、チャビやイニエスタへのマークにこだわった。故に彼らがゲーム中に放ったシュートは、シュートだというのも微妙なくらいの一本のみ。守る側としては特に脅威はなかったのだが、いかんせん指揮者を消され、面白みのないゲームとなった。試合はその後もこれといった見せ場もなく、ロスタイムにアルメリアがようやく攻める姿勢を見せたくらいで終了。バルサが1-0で勝利している。
そして日曜夜、サンチェス・ピスファンにてマドリーが初黒星を喫したことで、バルサは単独首位に立つ。FIFAウィークをいい気分で迎えられたことで、満足としておこう。
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