FIFAウイルスによる影響で、ベストなる布陣を組めなかった両チームの戦い。特にバルサに駒薄感は強く、引き分けたことで満足するべきゲームだった。英雄はパラドンを連発したV.バルデス。
代表ウィーク明けは万全ではないのが常のバルサであるが、今回はなかなかそれが酷かった。バレンシアキラーのティティ・アンリが負傷にて使えず、イブラヒモビッチもベンチを温める。チャビとイニエスタはダメージを抱え、頼みのメッシもフル充電には遠い状態。これでは正直、メスタージャで気合のバレンシア相手にはきつい。
予想されたとおり、バレンシアは試合開始直後から一気にバルサゴールへと襲い掛かってきた。1分には高速パブロ・フェルナンデスがあっさりと最終ラインの裏を取り、バルデスと1対1に。守護神はいきなり大仕事をすることとなった。
悪いなりにバルサは、ボールを回し自分たちのプレーを実行しようと試みた。しかしバレンシアの圧力は強く、中途半端なボールをことごとく中盤でカットされる。そしてショートカウンターという流れの繰り返しだった。ボールは前線まで届くことなく、届いた場合でもキープすることが出来ない。びっしりとスペースを消す守備陣の前に簡単に奪取されて反撃を食らった。イニエスタを“偽の9番”に置く苦し紛れ策も、通用はしない。イブラの不在が大きく感じられた。
バレンシアはパブロ、マタ、シルバら若き攻撃陣が元気だった。リズムよくボールを展開し、バルサラインの裏へ抜け出す。プジョルやバルデスの踏ん張りがなければ、おそらくゴールは割られていたことだろう。“チェ”としては、ビジャがいればなぁ・・・と思ったかもしれない。エリア内での決定力に、バレンシアは若干の不足があった。
前半のバルサはとにかく酷かった。初のシュートは30分を超えるまで待たねばならず、チャンスらしきものもない。なにせ、シュートが2本なんだから。だが後半になると、バルサのギアも幾段か上がる。おそらくはハーフタイムでのペップの指導が効果を表したのだろう。48分、やはり右の方がやり易そうなメッシがご挨拶のシュートを放ち、反撃の狼煙を上げている。
ゲームは後半、拮抗したものとなった。ドタバタした感じは拭えないが、バルサにもバレンシアにもそれなりのチャンスが数回訪れ、退屈さは幾らか解消されていた。バルサが良かったのは、60分を過ぎた頃。62分にはメッシの強力なミドルシュートがあり、63分にはこのゲーム最大の見せ場が訪れる。アルベスのロングボールに抜け出したチャビがエリア内に持ち込み、ここぞのタイミングでフリーのペドロに折り返したのだ。しかし彼のシュートはデフェンサの足に当たり、ポスト左へ転がっていった。
その後も、バルサはどうにか勝利のゴールを奪おうとはするものの、決め手を欠いた。選手交代によっても、活路は見出せない。惜しいチャンスはむしろバレンシアで、バルデスの好守によって際どく無失点を保ったのだった。トゥレ・ヤヤを前に上げ、攻撃に参加させるオプションは、もう少し早く試しても良かった。ボージャン投入の時期も同様だ。
結局バルサ、バレンシア共に相手ゴールを揺らせず、ゲームは0-0にて終了。バルサは前線にもう一人、存在感を出せる選手がほしかった。現布陣では、この先も苦しむことが多くなるだろう。そうして、バルサの開幕戦からの連勝は6でストップした。プレーの出来からすれば、負けていても不思議ではなかった試合。価値ある1ポイント獲得を、評価することとしよう。
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