10月に入って以降、チームを覆っていたイマイチムードを吹き払うスカッとしたゲームとなった。ケイタは自身初となるプリメーラでのハットトリック達成。
この日のバルサは、サラゴサがもうひとつだったことを差し引いてみても、全体としての動きの質が高かった。ボールコントロール、パスやボールを受ける動きのスピード、縦を目指す意思、攻撃参加の多様性、その全てが5日前とは見違えるよう。本来のバルサが戻ってきていた。
ゲームは序盤よりバルサの一方的な展開となる。まずは4分、左のケイタからのパスをイブラがスルー、チャビが受けてメッシがフィニッシュ、という流れが非常に滑らかだったため、今日はいけそうだ、との感触を抱かせる。そしてその予感は、予想以上に的中することになるのだ。
前半、サラゴサのシュートは15分のアリスメンディのカウンターによる単独突破による1本だけに止まっている。残りはほぼ全て、バルサがボールをコントロール。サラゴサ陣内に攻め入った。先制点は23分だった。チャビの右ショートコーナーを受けたメッシが、狙いを澄ましてセンタリング。ここにセットプレーの鬼ケイタが頭で合わせたのだった。祭りの本格スタートの合図である。この日のケイタは、運動量、ボールさばき、スペースへの抜け出し、そしてシュートと素晴らしい出来。紛れもない、本日の主役となる。
これに負けていられじ、と存在感を見せたのがイブラヒモビッチだ。ズラタンもまた、ポストプレーにスペース活用、ライン裏への突破、シュートとすべてが高次元。惜しくもオフサイド判定となったゴールもふたつあり、ポテンシャルの高さを見せ付けている。バルサの2点目は、彼の強烈なフリーキックだった。30mはある位置から放たれた重たいボールはGKの手を弾き飛ばし、ネットに突き刺さった。
そして前半の3点目は40分、主役の二人によって織り成される。チャビのスルーパスに反応したイブラヒモビッチが、左から最終ライン裏に絶妙のボールを流し込み、ファーに走りこんだケイタがこれを押し込んだ。ハーフタイムを待たずして3-0!スタンドはもちろん大満足、ロッカーへ引き上げる選手たちに、盛大な拍手を送っている。
前半でゴール差が付いた試合はえてして後半にリズムが緩むものだが、この日のバルサにはそのようなことはなかった。それだけ、快勝に飢えていたのだろう。追加点は、早々に訪れる。53分に決めたゴールはオフサイド判定となったものの、その2分後に文句ないゴールを決めるのだ。左に張っていたケイタからのクロスを、ニアに詰め行ったズラタンが右足アウトサイドで合わせるテクニシャンシュート!まさに技巧派の本領発揮である。
4点差となり、最初の選手交代タイムも終えた70分頃からしばらくは、サラゴサの反撃も見られた。それが実ったのは78分。マクスウェルからのチャビへの不用意なパスを奪ったラフィタにドリブルで持ち上がられ、ボールを受けたエベルトンがバルデスと1対1に。このシュートはどうにか弾き返すのだが、続くホルヘ・ロペスのシュートまでは防ぐことが出来ず、1点を許すのだった。
だがサラゴサの喜びも長くは続かない。80分、この日は運に恵まれていなかったメッシがついにネットを揺らすのである。それまでに4度ほど惜しいチャンスを逃していたレオだったが、五度目の正直。イニエスタからのパスを受けたメッシは、GKカリーソが飛び出してくる瞬間を見計らい、心憎いバセリーナによってファンの期待に応えた。やはりフィエスタに、この人のゴールは欠かせない。
そして祭りのフィニッシュは、先制点と同じ右コーナーからのケイタのヘディングだった。86分、イニエスタが蹴ったボールを今度はやや遠目の位置からズドン。普段は汚れ役に徹しているケイタが、時にはヒーローとして大暴れするゲームってのもいいものだ。こうしてバルサはサラゴサを圧倒し、6-1でゲームを終えた。前日にマドリーがヒホンにて引き分けていたため、これで2位とは3ポイント差。内容・結果共に最高の週末となり、実にいい気分である。地に足を付け、この調子で次からも行ってみよう。
|