平日22時開催の、すでに勝負の行方はほぼ決まってしまっているコパ1/16。夜風は冷たく、選手も観客もモチベーションの上がらないゲーム。しかしペップバルサは後半過ぎからではあるが、現役王者であることを証明してくれた。やるもんだ。
バルセロナといえども、11月ともなれば夜は寒い。かなり冷える。カンプノウのスタンドへと足を運んだ26000人のファンたちはかなりの勇者ともいえ、その熱意は賞賛に値する。だが彼らは前半、その忠誠心を悔やんだかもしれない。これなら家で温かいコーヒーでも飲みながら、のんびり観戦した方が良かったと思ったことだろう。
いつものように、ボールはバルサが支配していた。対するクルトゥラルは決して勝負を放棄してはおらず、統率されたラインでバルサの中盤に圧力をかけ続けた。イニエスタとジョナタンは自由にプレーをさせてもらえない。それでも相手エリアには近づくのだが、最後の詰めに精度を欠いていた。クルトゥラルの狙いは、早い時間帯にゴールを奪い、バルサを慌てさせること。それを防ぐことに、チームペップは専念しているようだった。
だが時間が経過すると共に、レオネサの頑張りにも陰りが見え始める。30分頃からは、バルサに幾つかのチャンスも訪れた。しかしペドロとジェフレンは、この日の主役となるチャンスを逃してしまう。得点の匂いを漂わせながらも、ゲームは0-0のままハーフタイムを迎えた。
後半になると、バルサは突如、エンジンを吹かしだした。そしていきなりゲームは“カンペオン対セグンダB”の様相を呈するのである。ここで一気にヒーローへと名乗りを上げたのは、ボージャン・ケルキッチだった。まずは51分、エリア内にてジェフレンが左から入れたボールを、ファーのボージャンがすっと押し込んで1-0。こういうゴールは本当に上手い。さらにその2分後、ジョナタンのスルーパスに抜け出したボージャンはGKカルサドを抜き、角度のないところからボールを流し込んだ。
合計スコア4-0の安全圏内に入り、ギアを緩めるかと思われたバルサであったが、ペップはここからゴージャスな選手交代を行っていく。ダメージを受けたジェフレンを下げ、フォンタスを入れた後、プジョルに替わって登場したのがなんとレオ・メッシ。この日のメッシは、相変わらず中央寄りのプレーではあったものの、このところの不出来を忘れさせるほどいい感触だった。3点目の起点も、このメッシとなる。
中央をドリブルで駆け上がり、絶妙のタイミングで左のイニエスタへとパスを送るメッシ。ドンはエリア内に切れ込み、シュートと思わせつつ、ファーで超フリーのペドロへとボールを戻した。あとは余裕でシュートを突き刺すだけだった。イニエスタの落ち着き、ペドロの得点力の共鳴。
クルトゥラルはこの怒涛の3ゴールでショックを受けたのだろう。64分にはカルサドがゴールキックを失敗。ペドロがこれを拾い、パスを受けたメッシがドリブル突破の末、デフェンサたちをあざ笑うかのようなフェイントと鋭いシュートにてネットを揺らした。
そしてフィエスタの仕上げは、最後の途中交替選手となったチャビ・エルナンデスだ。74分、中央のメッシが右のペドロへとボールを回し、レオはそのまま勢いよくエリア内へと突進する。そしてペドロから返されたクロスボールを、ペナルティスポットから技ありのヘディングシュートでゴールに沈めたのだった。メッシの突入が、デフェンサの注意を引き付けていた。
その後、アルベスのシュートがポストに弾かれる場面もあったが、ゲームはそのまま5-0で終了。これは奇しくもコパで生き残るため、マドリーが目指していたスコアだった。別会場、同様にセグンダBのチームを迎えたマドリーはしかしバルサのようには行かず、フルメンバーを投入しながらも1-0が精一杯。早くもここで、コパから姿を消した。白ファンの帰路は、さぞ寒かったことだろう。寒空の応援をゴレアーダで報われたクレとは大違いだ。
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