チームのバイオリズムが低調である。怪我人が連続し、新型インフルにも侵食されている。FIFAウィークによるコンディション調整不足も明らか。おまけにこのゲームではメッシまでもが負傷してしまった。ビッグウィークに挑むに当たり、不安しか見えない今日この頃。
ゲームはいつものように、バルサがボールを支配して始まった。序盤に目立っていたのは、メッシである。まずは4分、ミドルシュートにてGKゴルカに挨拶をすると、16分にはチャビからの絶妙のスルーパスを受け、ゴルカと1対1に。しかし狙いすましたシュートは、GKの懸命のセーブによって得点とはならなかった。
その前後にもバルサは、13分にはチグリンスキーからのため息の出るようなロングパスにペドロが抜け出しエリアに切れ込んだり、17分には右サイドからのメッシのセンタリングにケイタが飛び込むなど、そこそこの見せ場を作り出している。この時間帯、得点の匂いはあった。
アスレチックはしかし、押し込まれつつも我を失うことはなかった。黙々と守り、バルサの中盤に圧力をかけていく。そして30分を過ぎる頃になるとチームペップの勢いは消え、比例してビルバオが徐々にバルデスに近づいていくことになる。また同時にビルバオは、繰り返すファールによってバルサのフラストレーションを募らせていった。たとえば20分、アモレビエタは危険な足上げによってメッシの顔にスパイクを入れている。
ハーフタイム直前には、アスレチック前半の唯一にして最高の場面があった。コーナーキックからの一連の流れで、ハビ・マルチネスがフリーにて90%は決まっていておかしくないヘディングシュートを放ったのである。だがしかしボールは、辛くもポスト右に逸れる。バルセロニスタはホッと胸を撫で下ろした。
後半は前半と似たような流れだった。ボールは動いているものの、スパイスが効いてないような展開。そのままであとしばらくは行くのか、と思われたのだが、局面は53分、いきなり変化する。チャビの流石のスルーパスにダニ・アルベスが抜け出し、角度のないところからボールを流し込んだのだ。相手ボールを奪ってからの、一瞬の攻めだった。チャビはこのボールを、倒れながら出している。お見事。
その2分後、カパーロス監督は攻撃的カードを切っている。オルバイスを下げ、決定力あるデランテロ、トケーロを投入したのだ。トケーロはこれが怪我明けの久々の登場。そしてこの采配が、ゲーム展開に大きな影響を及ぼすことになる。
62分のことだった。きっかけはゴルカからのロングボール。最前線のジョレンテが頭でこれを前のスペースへ逸らし、そこに走りこんだトケーロがズバッとネットに突き刺したのだ。ピケはあっさりとボールの侵入を許し、アルベスはトケーロをマークしていなかった。アスレチックはこれがゲームを通じ、唯一の枠内シュート。油断はいつも、高くつくものである。
バルサはキックオフ前、マドリーがラシンをぐだぐだプレーながらも下していたことを知っていた。クラシコを首位で迎えるには、勝利しなければならない。その焦りからだろうか、1-1となって以降のバルサ選手たちのプレーは正確性を欠き、ゲームコントロールもままならなくなっていた。ゴールへ急げば急ぐほど、得点の匂いはなくなっていく。
75分には、太ももを痛めたレオ・メッシが交代を要求し、ボージャンが登場する。そしてその7分後にはアンリもピッチに立った。しかしこのふたりはアスレチックのマークの前に、ほとんどボールにすら触れることも叶わなかった。結局バルサはそのまま、状況を打開する糸口も見つけられずに試合終了を迎えている。これにてついに、守ってきた首位をマドリーに譲ることになった。インテル戦、クラシコに向け、ポジティブなものを得られなかったビルバオ戦。あとは傷ついた王者の、リアクションに期待するしかない。
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