ビッグウィーク後で心身は疲労、モチベーションも上げにくい最下位ヘレスとの試合だったが、苦労はしながらも結果は順当な0-2勝利。暫定ながらマドリーとの差を5に広げた。
大方の予想通り、ペップ・グアルディオラはこの試合を“コパのようなメンバー”で臨んだ。週末のクラシコからは6人が入れ替わっている。特にディフェンスラインは未成熟な組み合わせであり、位置取りや中盤との連携などで上手くいかない場面が見られた。
この日のバルサはゲームを序盤から支配していたものの、プレーはリズムが低く、正確性も大いに不足していた。チーム全体の動きにダイナミズムは感じられない。パスミス連発。いたるところで、普段は出ないようなエラー(小さいものとはいえ)が発生していた。
ヘレスは一方で、モチベーション十分だった。集中力もあり、闘志もある。勇気を持って最終ラインを高く設定し、バルサの不活性な中盤、前線に圧力をかける。そのライン裏への飛び出しを狙うバルサではあったが、ヘレスのラインコントロールは上手く、その網をかいくぐることは出来なかった。ただ、ヘレスはリーガ12試合で4点という数字からも分かるように、得点力が圧倒的に少ない。バルデスを脅かされる場面は試合を通じてほとんどなかった。
コンディションの優れない芝生、さらにはキックオフ前に降り出した雨の影響もあったろうが、バルサのプレーは低調だった。序盤にボージャンが鋭い切り返しから絶妙なボールをゴール前に送り込んだシーンと、25分にチャビのスルーパスにアンリが抜け出し1対1からシュートを放った場面。得点の匂いはそれくらいだった。
だが後半、開始わずか45秒でスコアは動くことになる。ケイタとの絡みで攻め上がったマクスウェルからクロスが送り込まれ、ニアポストのアンリがあっさり頭で押し込んだのだ。シュート前の、アンリのマーク外しはお見事。ヘレスとしては悔やまれる失点だったろう。
だがこの先制点も、バルサのプレーを改善させる切っ掛けにはならなかった。この日のグアルディオラは動きがいつもより早く、メッシ、そしてイブラヒモビッチと豪華クラックたちをピッチに送り込んでいく。しかしその試みも効果を発揮することはなかった。
一方のヘレスは、そんなパッとしないバルサ相手に最後まで闘志を失わない。カウンターアタックによってどうにか同点に追いついてやろうと、王者に圧力をかけ続けた。1点のリードだけでは、何が起こるか分からない。実際にはヘレスは決定力に欠けていたが、バルセロニスタから漠然とした恐怖が拭い取られるのは後半ロスタイムになってからなのである。
試合終了間際、さすがにヘレスもガス欠になったか、立て続けにバルサにゴールチャンスが訪れる。まずはメッシの個人的突破によるポスト直撃弾。91分には右のイブラヒモビッチからの完璧なお膳立てを、ファーに走りこんだイニエスタが吹かしてしまう。これにはクレは悶絶した。だがその2分後、メッシとの連携でオフサイドラインを突破したズラタンが、惚れ惚れするようなバセリーナでついに追加点を奪い取る。ほほう、そんな技も持ってましたか・・・という美しいゴールだった。
そうしてゲームは0-2にて終了した。スコアだけ見ればそれなりだが、内容は今季一二を争うさっぱりさだった。しかしクラシコの勝利も、ヘレスへの勝利も勝点は同じ3ポイント。必要最低限の任務は果たし、それで良しとしよう。こういう展開は予想していた。罠に落ちなかったので十分だ。
|