このところ、1勝3分と相性の芳しくないリアソールでの試合だったが、勝っておきたい要所となるゲームでの勝負強さは相変わらず。積極的なプレーによってデポルティボを攻略し、きっちりフエラ2連勝とした。キエフ遠征に弾みのつく勝利だ。
来週水曜にディナモとの重要な試合が控えるものの、ペップはこのデポル戦こそが今後の展開により強い意味を持っていると判断していた。先発11人もフルメンバー。2ヵ月半ぶりにH.I.M トリデンテが復活している。ケイタをベンチスタートとした以外は、驚きはなかった。
ペップバルサはこの日はデポルティボの出方を窺うことなく、キックオフ直後から積極的に攻撃を仕掛けていく。好調デポル(ここ6試合で14ポイント獲得)を制するために、序盤で主導権と先制点を奪おうとの意思が感じられた。そしてそれは、まずまず成功する。相手を一気に押しつぶすには至らなかったが、ボール支配は圧倒的だった。
デポルティボは前線〜中盤で激しく圧力をかけるでもなく、ラインコントロールによるエリア際でのパス摘み取り作戦を採用したようだった。ボールを奪い速攻をかけることも半ば放棄し、微妙なライン設定でバルサ台風をしのぐ。これをバルサは、最初は上手く崩せずにいた。しかし時間が経過するにつれ対応法も発見し、20分からは完全なるバルセロナの押せ押せタイムに突入するのである。我ここにあり、と主張したのはメッシだった。
翌日、パリにてバロン・デ・オロを受賞式典に参加することになるレオはその祝いとばかりに、まずは20分にエリア内に稲妻ドリブルを仕掛け、GKアランスビアにご挨拶とする。ポルテーロはどうにかこのシュートを弾いてみせた。しかし27分、今度はメッシが戦いに勝利する。波状攻撃後、アルベスからボールを受けたメッシがエリア際から強烈なミドルシュートを突き刺すのである。ボールを受けてから反転、持ち出し、シュートの動きが素晴らしく速い。これには守備陣もどうすることもできない。
0-1とし、ここよりしばらくはバルサの連続攻撃となる。残念だったのは、この時間帯にリードを広げられなかったことだ。そのうちゴールは決まりそうだったのだが、ひとつのプレーで試合はいきなり展開が変わるもの。39分、それまで何も出来なかったデポルティボがゴールキックから同点に追いついてしまうのだから堪らない。下がりながらボールをクリアしようとしたブスケツが、競り合いで体勢を崩し、アドリアンへ絶好のアシストとしてしまう。アドリアンはちょいとこれを頭で押し込み、試合は振り出しに戻った。ビルバオ戦を思い出す、ゴールキックからの呆気ない失点。
そして後半、バルサは前半と同じく、ゴールを奪うべく前に出て行くのだが、その思いとは裏腹にゲームは単調になっていた。ボールは回そうとするのだが、美しく回らない。いろいろ試みはするのだが、どうもエリア周辺での決め手に欠ける。アルベスのクロスも、チャビ・イニエスタのパスも、メッシの仕掛けも、どれも上手く回らなかった。デポルの守りも良かったが、バルサはなにか行き詰まっている感じが漂っていた。
そこでペップは70分、精彩のなかったアンリを下げ、ペドロを送り込む。監督の思惑通り、ペドロはチームに新鮮な空気をもたらした。そしてわずか数分で、追加点をお膳立てしてしまうのである。79分、アルベスのパスから縦に抜け出したペドロがエリア深い位置で折り返し、メッシがどんぴしゃヘディングシュートをズドン。いいね、ペドロのそのシンプルかつ効果的な動き。これでバルセロニスタは、ほっと一息をついた。
さらにゲーム終了間際の88分、チャビからのボールを受けたアビダルが左サイドを突破し、鋭いクロスを送り込む。これに合わせたのが、ファーのイブラヒモビッチだった。速いボールだったのだが、いとも簡単に合わせてしまう技術の高さ。何気にメッシがスルーしているのも、気が利いていた。これでイブラは早くもリーガ10得点到達である。これからもこの調子で!
試合はこうして1-3で終了した。勝ちたい!と気合を入れて臨んだ決戦で、きっちり結果を手に出来たのは非常に大きい。シーズンを通しても、特にポイント確保が難しいスタジアムでの勝点3。フエラでも俺たちは勝てるんだ、との自信はさらに深まったことだろう。
あとはキエフでチャンピオンズF組の首位通過を決め、バルセロナダービーを制し、ドバイにて世界一に輝けば、2009年のバルサは完璧となる。その達成まで、あと少し。もうひと頑張りだ。バモス!
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