「失敗しないバルサ」の本領発揮。カンペオンの実力を示す逆転勝利にて、一時は無理かと思われたF組1位通過をやってのけた。
クラブとして“今季最初の超重要試合”と位置づけていたこのキエフ戦。ペップ・グアルディオラは先発にベストの布陣を揃えている。とはいえ、氷点下の気温はバルサのプレーから流麗さを奪っていた。得意のボールタッチは見られるものの、今回はいくぶん淡白な様子だった。
ボール支配は圧倒的にバルサとなっている。試合を通しても、7割強。ディナモはバルサ相手に、シュートすらまともに打てていない。しかしよくあるパターンとして、その貴重な一本が得点になってしまうから不思議だ。開始早々の2分、エリア左角からのミレフスキによるフリーキックが、あっさりと入ってしまうのである。低い弾道のシュート。バルデスは一度はこれをキャッチしたかに見えたものの、無常にもするりとボールは腕を抜け、ラインを越えてしまった。守護神の手は寒さで強張っていたようだ。
2-0でバルサを下せば、光明が見えてくるディナモはこのゴールによって意気上がり、勝ちたいバルサももちろん攻める。この先制点はゲームをオープンなものとした。ただし、バルサの圧力が効き始めるのは、30分を超えたあたりからとなる。それまではどうも、嫌なムードにやられていたようだった。恐怖という名の亡霊である。メッシが惜しい場面を作るも、GKショフコフスキの好守がそれを阻んだ。
待望の同点ゴールは33分、ついに生まれた。真綿で締め付けるように、キエフ陣内でパスをつなぎまくるバルサ。ディナモはボールを奪おうとするも、バルサ選手たちはそれをすり抜けていく。最後は中央のメッシから左のアビダルへとボールが送られ、フレンチラテラルのダイレクトの折り返しを、走りこんだチャビがスライディングで押し込んだのだった。美しいゴール。クレ好みのゴール。
同点となる少し前に、サンシーロではエトーがゴールを決め、ルビンをリードしていた。それにこのチャビのゴール。この状態が維持されれば、バルサはF組1位の座を手に入れることになる。気持ちはぐっと楽になっただろう。亡霊を振り払ったチームペップは、気分良くパスを回し続けた。ディナモはただ、奇跡の一発を狙ってカウンターに備えるのが精一杯だった。
後半に入っても、流れに変化はなかった。バルサが圧倒的にボールをコントロールし、キエフは自陣でじっと忍ぶ。前半に比べギアは落としているようだったが、バルサの支配は崩れることはなかった。ショフコフスキの頑張りがなければ、スコアに大差が付いていても不思議ではないゲームだった。
とはいえ、ファンの望む逆転ゴールはなかなか訪れることはなかった。バルセロニスタとしてチームに期待するのは、きっちりと勝利しての1位通過チケット獲得。ゆえに1-1では満足はできなかった。だがこういう時にやってくれるのが、クラックたる選手である。時計が気になりだす86分、エリア右前からのフリーキックを、レオ・メッシがゴール右上に突き刺した。自在にピッチをかけたメッシが、最後に貴重な仕事をした。バロン・デ・オロの悪影響など微塵も感じさせない。我らがクラックは頼りになる。
ただ、試合終了間際に激しいタックルを受け、レオは右足首にダメージを負ってしまった。結果論ではあるが、ゴール直後にお役御免にしていればなぁ。ムンディアリートに備えるため、メッシは週末のデルビーに欠場の予定。
そんなこんなで、バルサの大一番は勝利にて幕を降ろした。ここぞのゲームで、再びちゃんと成果を出したチームペップ。11月中旬までの不安定さが姿を消し、インテル戦からの5連勝は見事である。この勢いで、2009年を最高の形で締めくくってほしい。バモス!
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