ここ数年、バルセロナにとっては楽な展開にはならないダービー。今回も諸要因が絡みつつ、結果的に際どい勝利となった。勝敗を分けたのは、審判の議論を呼ぶペナルティ判定。
エスパニョールは過去二節、連続して0-4負けを喫していた。しかも怪我で主力(モイセス、デラ・ペーニャ、タムード)を複数欠く状態。デルビーでなければ、今節もあっさりと負けていた可能性も高い。だがこれはデルビー。ペリコのモチベーションを何かと刺激する。チームの現状はさほど反映されない。
試合前にはレオ・メッシのバロン・デ・オロ披露セレモニーが執り行われた。怪我でこの試合は休みのメッシなので、普段着での登場。スタジアムは大きな歓声に包まれる。
昨年のデルビーでは、ファールにて徹底的にバルサを潰す戦術を採用してきたポチェッティーノ・エスパニョールだったが、今回はハードプレーに訴えるのではなく、スペースを消し、バルサの中盤に時間を与えない作戦を採ってきた。だがバルセロナはそんな圧力をかいくぐり、いつものように相手陣内でパスを回しまくる。ボール支配率は一時、八割に迫ることもあった。
だが決定的なチャンスはそう多くは作り出せず、惜しい場面でもバルサ戦ではしょっちゅう活躍している印象のGKカメニが判断よくボールを処理し、大きな壁となる。シュートの正確性も、この日はいくぶん不足していた。13分、ペドロの至近距離弾はポストの左。彼にしては珍しいミス。17分にはイブラのパスに反応したアンリが抜け出すも、彼のシュートはカメニに弾かれた。36分、マクスウェルのミドル弾も枠を外れてしまった。
最終的にゲームを決めることになったのは、38分、イブラヒモビッチのクロスに合わせようとしたチャビを、バエナが押し飛ばしたとして主審が宣告したペナルティだった。微妙な判定だったが、審判がそう判断したからにはペナルティ。ズラタンがこれを強烈なキックでゴール左角に突き刺し、バルサが先制に成功する。
致命的なポイントはなかなか突けなかったものの、ボールは圧倒的に回していた前半を終え、迎えた後半は、手にしたリードで緊張感が緩んだのだろうか。よくあるパターンとはいえ、バルサのプレーはギアを二つほど落としたように見えた。疲れもあったと思われる。バルサは明らかにプレーが低調になっていた。
一方で必然的に、エスパニョールは勢力を拡大する。これまでの13試合で8点しか奪えていないペリコだけに、彼らの攻撃は特に恐怖を呼ぶものではなかったが、それでも守備陣の仕事は増える。疲れている上に仕事が多くなるのは本当に大変なことだが、バルサデフェンサたちは集中を切らすことなく、最後までゴールを守りきった。お疲れ様でした。そしてグッジョブ。そろそろピケは休みを与える時期かもしれない。
颯爽たる勝利ではなかったが、首位を保ったまま2009年のリーガを終えることを可能とする貴重な3ポイントを確保。その意味は大きい。あとは思い切り、年内最後の目標であるクラブ・ムンディアル獲得を目指すだけだ。さあ、いよいよ心だけでなく、身もドバイへと飛ぶ。世界一の称号を手に入れるために、クラブの歴史に新たなページを刻むために。
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