年末のフィエスタも束の間、2010年もバルサは正月から休みない。リーガとコパの一ヶ月となる1月、まず最初の試合はカンプノウに恐怖を感じてはいないビジャレアル。新年早々、イヤな相手である。
難敵相手だけに、ペップはいけるかぎりにフルメンバーを先発に起用してきた。唯一の例外(サプライズ)は怪我明け間もないイニエスタの代わりに登場となったジョナタン・ドスサントス。ここでいっちょやってみろ、というグアルディオラの心意気を感じる。ドン・アンドレスはベンチから戦況を見つめる。
ゲーム開始前には2009年の六冠達成セレモニーがあり、さらにビジャレアルの選手たちはパシージョにて世界王者を迎えてくれた。誉れ高い瞬間ではあるが、一方で一抹の不安もよぎる。果たしてチームのギアはちゃんと入ってくれるのだろうか?
キックオフ直後は、選手たちはしっかりと監督のメッセージを受け取り、過去は忘れてプレーに集中しているようだった。幸先もよかった。年末はことごとくリードを許していたバルサだったが、新年初ゲームでは7分にあっさりと先制に成功するのである。チャビのえぐい対角線パスをペドロがスルーし、走り込んだアルベスがセンタリング。アンリのアクロバティックなボレーシュートはクロスバーに弾かれるも、こぼれ球を拾ったペドロが冷静にコントロール、ゴール左に突き刺したのである。
この日は、アンリの出来が非常に良かった。後半になるとチームと共に失速するが、前半は今季一番の仕上がり。とてもアクティブであり、20分と44分にそれぞれ、あと一歩でゴールというところまで迫っている。この生き生きとしたティティによって追加点を奪えなかったのが、後々に響いた感じだ。
ただ、チーム全体のプレーはいまひとつ活気がなかった。酷くはないのだが、良くもない。ビジャレアルのプレスの前にボールを落ち着かせることが出来ず、パスはふわふわと選手間をさ迷った。チャビにボールがすっぽりと収まらない。ジョナタンとの関係はまだ時間がかかりそうだ。
ビジャレアルは早い失点は予定外だったろうが、その後も決して挫けることなく、丹念にバルサのボールを追っていた。隙あらばカウンターを仕掛ける姿勢。27分には右サイドを突破したカニから絶妙のボールを上げられ、フステルにあわや同点シュートの場面を許している。一点のリードでは、まったく安心など出来なかった。
後半となっても、バルサのギアは上昇することがなかった。そしてフステルが4分、まずは際どいシュートで警告を浴びせる。この時間帯、どうもバルサはふわふわとしてしまっていた。簡単に陣内でボールを展開され、危ないボールをエリアに送られる。すると案の定、5分に同点ゴールを献上するのだから分かり易い。右に侵入したカニから左の大外へ振られ、ノーマークのフステルが技ありのシュートを決めて1-1とされた。
カンプノウには雨が落ちるようになっていた。それに合わせるかのように、バルサのプレーも湿り気味。上手くポジションを取り、上手く圧力をかけるビジャレアルの網をかいくぐるのは容易ではなく、相変わらずボールは所在無さげに選手間を漂った。ペップは流れを変えるべくイニエスタを投入するも、ドンは個人的な輝きをちらちら見せるにとどまっている。64分、彼の豪快なシュートは実に惜しかった。ただ、GKディエゴ・ロペスのブロックに阻まれ得点にはならず。
そして時間は経過し、スコアはそのまま1-1のまま動くこともなかった。86分にはバルデスを上手く処理したロッシのシュートがあと少しでラインを越えるところだったが、懸命に戻ってそれを蹴りだしたプジョルによって事なきを得ている。あれが入っていれば、まさに悪夢の事態だった。
09/10シーズン、カンプノウでポイントを獲り逃したのはこれが初めてとなる。昨シーズンもビジャレアルはバルサの優勝決定祭りに水をさしてくれたのだが、どうもこのイエローサブマリンには楽しい想い出が作れない。まあ「六冠なんてとっとと忘れろ!」がこのエンパテの教訓であるとして、ここからまた気持ちを引き締めなおしていく切っ掛けとなれば良しとしよう。パンプローナにてマドリーもまたしくじったため、首位は変わらずバルサのものである。
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