レジェス・デ・マゴスのプレゼントは届かなかった。魔法の夜を期待したカンプノウのファンを待っていたのは、ベストメンバーには遠いながらも見事バルサ対策に成功した偉大なるセビージャと、ペレス・ブルール主審による数え切れないほどのミスジャッジ、そしてバルサの2010年初敗北だった。
雨もぱらぱらと降る寒い冬の夜。クレはまず、ペップからの嬉しいサプライズでゲームを迎える。ガビ・ミリートの公式戦先発復帰である。スタジアムは彼の名前を何度も呼び、祝福を伝えている。元帥のプレーはリズム不足は否めないものの、十分合格点。“冬の補強”としてこれは、実にありがたい。
この日、ペップはいわゆる重鎮たちの多くを先発から外している。先発起用された主力は、アルベス、イニエスタ、メッシの3人だけとなり、残るは実験色の強いメンバーだ。ミリートが復帰したことにより、マルケスの中盤起用も。だがしかし、ペップの賭けが常に上手くいくわけではない。今回の彼のチームは機能しなかった。後の会見にて、ミスターは選手起用を誤ったと認めている。
バルサを止めるため、セビージャはタフでハードなプレーを選択していた。これをペレス・ブルールの寛大さが助長。機能しないチームに奮闘するメッシはその標的となり、主審はカード対象となるべきファールを見逃した。前半のセビージャはほぼバルサ封じに専念。ピントを脅かしたのは45分でロマリッチのフリーキック1本だけだった。
一方のバルサは上手くいかないながらもボールは支配し、何度かそれなりのチャンスを作り出してはいる。9分のメッシのスラロームからのシュートや、アルベスのフリーキックなどは運があれば決まっていたかもしれない。22分の角度のないメッシのシュートも然り。
後半開始から、試合を決めるべくペップはイブラヒモビッチを投入している。しかし残念なことに、まず試合のバランスを崩したのはペレス・ブルールだった。59分、ズラタンへの怪しいペナルティ的押し倒しファールが見逃され、なんでやねん!というムードにあった直後の60分、まんまとカペルに先制点を奪われるのだ。左サイドをペロッティにえぐられた末、エリア内でのこぼれ球をフリーで沈められての失点だった。各守備陣のマークも甘かった。
さらに70分、カンプノウはありえない光景を目にすることとなる。存在しないファールがあったとして、主審はボージャンによるゴールを無効とするのである。なんてこった、ありえない。無効といえば88分、アルベスのゴールもまたオフサイド判定によってノーカウントになっている。
ただ、ブルールといえども73分のイブラヒモビッチのゴールは取り消すことは出来なかった。自陣エリア前からのマルケスの絶妙なるロングボールにズラタンが抜け出し、飛び出してきたGKパロップをかわしてエリア右端から技ありミドルシュートをねじ込んで見せたクラック。これはお見事!鬱憤の溜まっていたスタンドは喜びを爆発させる。
しかしそんなムードも長くは続かなかった。時間にして、1分少々か。74分、チグリンスキーのカペルへの寄せ+掴みがファールと見なされ、ペナルティが宣告されたのだ。カペルは上手に倒れているが、非常に疑わしい判定。掴んだのがファールなら、少なくともエリア外のファールとなる。そしてネグレドがきっちりとこのペナルティを決め、セビージャが1-2とした。
ゲームはそのままのスコアで終了。普通に考えて、バルサのコパ1/4進出は厳しくなったといえる。セビージャの頑張りはなかなかだったが、審判がアレだけに後味非常に悪し。
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