敵地ながら、チーム力の差を見せ付けての危なげない勝利。横綱相撲だった。
コパからの脱落によって、ペップはローテーションを必要としなくなった。この試合も負傷によって欠場のブスケツを除き、万全のフルメンバーをピッチに送り出している。注目のピボッテに選ばれたのは、コパ・アフリカ帰りのケイタだった。
攻撃的フットボルを好むバジャドリは序盤から、積極的なプレスでバルサに圧力をかけてくる。パスの出所を封じ、バルサを機能させなくさせるやり方だ。バジャドリは最初の20分を、非常にいい様子でプレーしている。ここまでは彼らのプラン通りだったろう。17分にはピケの軽率なパスミスから好機も手にしており、得点の可能性もあった。
だが20分より、風向きは大きく変化する。バジャドリの戦術は、諸刃の剣ともいえる。プレスを掛け損なったとき、背後に広いスペースが生まれるのだ。バルサはチャビを起点としてカウンター攻撃を行った。ボールはメッシからアルベスへと移り、右ラテラルが正確なクロスを送り込んだときには、エリア内に4人の仕留人たちが揃っていた。そして先制点の主は中央で豪快にボレーシュートを突き刺して見せたチャビだった。ゴラッソーーー!
さらにその1分以内、次なるゴラッソが生まれる。またも右サイドを駆け上がったアルベスが、今度はクロスと見せかけて直接ゴールネットにボールを放り込んで見せたのだ。ポルテーロの意表を突いた、技ありシュート。こうしてバルサは一瞬にして、0-2のリードを手にすることとなった。
納得のゲームをしていたのに、1分のうちに2点を奪われたバジャドリ。これは精神的に堪えたことだろう。その後もバジャドリはプレーを諦めることはなかったが、すでに主導権はバルサががっちりと握り、ゲームをコントロールしていた。となれば、出切ることは多くはない。ようやく43分、彼らはエリア際正面からのフリーキックでチャンスを得たが、強力なシュートはバルデスが壁となり阻んだ。0-2のまま、前半は終了している。
後半もバジャドリは、自らのスタイルを信じてバルサに立ち向かっている。前半にそうだったように、彼らはバルサに自由にパスを回させることはなかった。だが、ここぞで攻め込むバルサの波を押し止めるのは容易なことではない。
56分、バルサはまたも右サイドより速攻を仕掛けた。まずはアルベスのクロスに対し、アンリのスペクタクルなチレーナが炸裂。しかしこれは惜しくもGKビラールの正面でゴールとはならなかった。いいところまでいくのだが、ネットを揺らせないアンリ。早く運気が好転しますように!
3点目が生まれたのは、その45秒ほど後である。アルベスが送り込んだエリア内へのボールにイブラヒモビッチは追いつくのがやっとだったが、一度落ち着け、背後のスペースへ優しいボールを置く。そしてここに走りこんだメッシが、ズバッとゴール左角にねじ込んだ。美しい流れの得点だった。
その2分後、バジャドリは後半唯一のチャンスを手にしている。左コーナーキックからディエゴ・コスタがあわやというヘディングシュートを放ったのだ。だがここで横っ飛び一閃、ゴールを守ったのがバルデス。集中力を切らさない彼のプレーは素晴らしい。
ゲームはそして、バルサのものとなった。残りの30分は、これといって危ない場面もなし。一方でそこそこに決定機を作ってもいたのだが、今回はそれ以上にネットが揺れることはなかった。ペップは交代によって二人のセントラルをピッチに送り出し、3バックのような布陣を試してもいるのだが、大きな収穫には至っていない。
前節すでに“冬のカンペオン”となっていたバルサはこの試合にも勝利したことにより、見事リーガ前半戦を無敗で終えることに成功している。リーガ史上、5チーム目の快挙。後半戦もその調子でいけば、必ずや栄冠は伴うだろう。バモス!
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