なんとか勝っておきたいゲームだったが、アトレチコはやはりバルサの天敵だった。チーム全体のプレーにキレがなく、今季リーガ初黒星。
アルベス、アビダル、チグリンスキー、トゥレ・ヤヤを怪我で欠き、ピケとマルケスが出場停止。クライシスともいえる守備陣不足のなか、ペップ・グアルディオラが右ラテラルに起用したのは前日会見で「彼は本職ではない」と語っていたジェフレンだった。
ゲームはバルサにとって、非常に厳しいアクシデントで始まっている。わずか3分、今度はケイタが太ももに痛みを感じピッチを去ったのである。なんてこった!これはもう呪われている。ペドロが急きょ投入され、イニエスタが中盤に移動した。
この歓迎せざる交代がバルサを不安定にさせたことは十分考えられる。そしてこの日、ビセンテ・カルデロンのコンディションは良好とはいえなかった。序盤から幾度となく、バルサ選手たちが足を滑らせる場面が見受けられている。
そういった状況で8分、ペップチームは追い討ちをかけられた。イニエスタとブスケツを置き去りにしたレジェスから、絶妙なるパスがフォルランへ。ウルグアイ人デランテロはこのチャンスを逃さなかった。1対1となったバルデスを軽く料理し、早々に先制点をゲット。今季リーガで初めて、バルサがリードを許した瞬間だった。
バルサの出来は芳しくなかった。特にチャビのプレーにはいつもの輝きがなく、中盤でのパスがつながらない。ボール展開は遅く、パスは不正確だった。アトレチコエリアを脅かすどころか、ただのシュートにもたどり着けない。どうしたバルサ?
さらに状況はバルセロナにとって厳しいものとなる。22分、エリア左角付近からのフリーキックを、シマオに直接叩き込まれてしまうのだ。その前にアグエロの絶好機をなんとか凌いでいたバルサだったが、このゴラッソは防ぐことは出来ず。スタジアムは熱狂の度合いを深める。バルセロニスタには、暗い予感が漂った。
だが2点差をつけられ、ようやくバルサにも反撃の兆しが見られるようになる。きっかけとなったのはイブラヒモビッチの久々のゴールだった。26分、チャビの右コーナー。ニアのプジョルが競り合いながらすらしたボールを、ファーのイブラがダイレクトにズバッと突き刺した。ここからは試合はバルサのペース。決定的な場面こそ少なかったが、イブラヒモビッチには得点の雰囲気が戻ってきていた。期待は持てた。
後半もバルサが押し気味に入っている。特に10分間ほどは、アトレチコの高い守備ラインを攻略できそうな感じもあった。しかし打ち寄せる波となり、畳み掛けられないのが今回のペップチームだ。54分にコルチョネロ陣内へ詰め寄ったのを最後に、あとはチャンスも作れなくなってしまった。チャビがいつになくボールを失っていたのが痛い。
バルサが萎んでいき、アトレチコもまた前半にエネルギーを消耗してしまったのだろう。ゲームは緩いリズムとなり、こう着状態に入っていった。77分にはペップはどうにか局面を打開しようと、チャビに替えてボージャンを投入するも展開に変化なし。むしろ時間がなくなるにつれて焦り、急ぎが見えるようになり、逆転への望みは減少していった。
終日に国王杯を戦っているアトレチコのほうが、体力的には厳しいと思われていた。しかしコパで決勝へと進出したことと、序盤に2点のリードを奪えたことは彼らにプラスのエネルギーをもたらしていた。逆にバルサは終止符安定なままゲーム終了。ずっぽりと悪い流れにハマってしまったような印象である。
ビセンテ・カルデロンは今回もバルセロナにとっては鬼門だった。今季初めてリーガにて3ポイントを失い、レアル・マドリーとのポイント差も2にまで減少した。悪い運気がチームを包んでいるここが、正念場となる。悪かった原因を見つけ出し、可能なかぎり早く修正していきたい。まだ首位は譲ってないのだ。気持ちをリセットして、次いこう!
|