クライフの不安が的中した、非常にお粗末な内容のゲーム。イブラヒモビッチの同点ゴールが、唯一の救いといえる。
大方の想像と期待を裏切り、シュツットガルトでのバルサは苦しんだ。もっと強豪との対戦だったら、と考えるとゾッとする。バルサは紛れもなく、低調期に入っている。リーガここ2試合での内容はドイツでも改善されず、むしろ悪化しているとさえ見えた。
この試合で前年度王者が示したイメージは、目を疑うようなものだった。遅く、キレもアイディアもなく、身体は重く、情熱もない。バルサが格下のチームだといわれても、知らない人なら信じただろう。一方のシュツットガルトは、さすがブンデスリーガで絶好調のチームといったところ。相手がバルサであろうと俺たちが勝ち抜ける!との気合が感じられた。実際の手応えもあったはずだ。
前日の会見で、ペップ・グアルディオラはしっかりとボールをキープして速く展開し、自分たちのプレーをやっていくと語っていた。けれども現実は、まったくの正反対。強行起用といえるチャビはやはりリズムがなく、彼と共に中盤を構成するトゥレ・ヤヤとブスケツも全然ダメとなれば、もうバルサのゲームは無理だった。シュツットガルトはプレスにより、容易にバルサのボールをカットした。
先制点は25分だった。奪ったのは(もちろん)シュツットガルト。ゲバルトの右からのクロスに、ファーのカカウがプジョルをものともしない完璧なヘディングシュート。聖バルデスといえども、なす術はなかった。
さらにその直後、バルサには危うい出来事もあった。28分、エリア内でピケがハンドを犯してしまったのだ。シュツットガルトはこれに抗議。しかしオランダ人クイペルス主審にはその瞬間は見えておらず、バルサは助けられた。一方、68分にはイブラのシュートをモリナロがゴールライン上で腕によって弾くシーンもあり。マドリ系メディアは41分にカカウが倒れたのもマルケスのペナルティだと主張している。
その他、前半のシュツットガルトにはゴレアーダのチャンス幾度。30分のケディラのシュートはプジョルがかろうじて掻き出し、32分のカカウと41分のポグレブニャクの決定機はいずれも聖バルデスの好守によって阻止されている。ありがとう、ビクトル。バルサによる唯一のチャンスは、41分のメッシによるポスト弾かれシュート。寂しいものである。
だが後半、早い時間帯にバルサは同点に追いついてみせる。52分、ブスケツからのロングボールをデフェンサがクリアし切れなかったところを、エリア内に上がっていたピケがイブラヒモビッチに向けて絶妙のアシスト。ズラタンのシュートは一度はGKレーマンに弾かれはするものの、こぼれ球を受けての二度目のシュートはゴール右隅に突き刺さっていった。
同点となり、ゲームは拮抗したものとなる。とはいえ、バルサのパフォーマンスが劇的に改善したわけではなく、この日の出来からはエンパテなら上々ということで、そのままやり過ごしたというだけだ。ゲームはそのまま、1-1で終了。とりあえずはベターな結果を持ち帰ったことになるが、内容が散々だっただけに笑うことは出来ない。
2週間後のカンプノウ決戦では、内容を改善させ、そのうえで勝利を収めなければならないバルサ。こういうゲームをまたも繰り返すようであれば、ヨーロッパの舞台から退場する羽目になるだろう。チャンピオンズに失敗は許されない。
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