“ダメすぎる”と酷評を受けたシュツットガルト戦。「悪かった原因は判っている」と言ったペップ・グアルディオラがどのような修正を施してくるかに、このマラガ戦の注目は集まった。
直前のゲームでマドリーが大勝(テネリフェに1-5)していたため、首位を維持するためには勝利しかないと知った上で選手たちはピッチへと出て行った。先発にはダニ・アルベスが3週間ぶりに復帰。ピッチに戻ってくるといきなり、ブラジリアン右ラテラルは攻守にわたって存在感を発揮している。彼がいることで、攻撃のオプションが随分と増えるのだ。右を活かすためには、やはり不可欠な選手。
ゲームは序盤からバルサ支配の下で進んでいった。マラガのプランは守備に専念し、少ないチャンスでどうにか1点を奪い取るもの。中央付近の守りをがっちり固め、バルサ攻撃陣のシュートコースを限定した。彼にらは主力を怪我で欠き、駒が足りないという事情もあった。ちなみにマラガのセントラルは、ラ・ロサレダでメッシを踏みつけ、クレの総すかんをくらったウェリグトンだ。マラガの前半のチャンスは7分、エリア左角からのフリーキックのみ。これはちょっぴり惜しかった。
前半のボール支配率は八割にもなろうかとしていた。それだけバルサがボールを回していた。しかしこれといった場面はなかなか作り出せず、最初の際どいシュートは24分、イブラヒモビッチの枠をわずかに外したフリーキックだ。
この日はメッシにもうひとつ運がなかった。13分の単騎突破はウェリグトンのぎりぎりスライディングに阻まれ、29分のえぐりドリブルからのシュート(右足)も枠の外。前半最後、ペドロの切り込みに始まったエリア内への雪崩れ込み攻撃も、メッシとイニエスタが懸命にシュートまで持ち込んだがポスト左に反れた。その他、チャビの意表を突くアクロバティックな踵シュートもあったが、惜しくもこれはGKムヌアにコーナーとされている。
その他、前半のトピックスとしては、主審ルビノス・ペレス(マドリー審判協会)がなにかとマラガに甘かったことが挙げられる。24分のファニートのメッシへのファールは警告モノだったし、41分にはマヌ・トーレスへの2枚目のカードを見逃し、意見したピケにカードを出した。あとは後半最後、イブラヒモビッチのゴールを直前にファールがあったとして取り消し。なんだかなあ、である。
後半もバルサはチャンスを手にしながらも、決め切れなかった。52分にはメッシの突破&クロスをファーのイブラがフリーで頭で合わせるも、ボールはバーの頭上を通過。59分には再度ズラタンが上手くヘディング弾を放っているのだが、ウェリグトンが寸でのところで頭でかき出した。ものすごーくイヤな展開。こういうときに毎度なんとかしてくれるのが、もやは聖人の称号を授与してもいいほどのペドロだった。何度こうしたペドロ弾に救われたことだろう。
今回は、彼の個人での解決力によるものだった。68分、エリア左角からの思い切りのいいミドルシュート。キレのある弾丸が左ポスト脇を打ち抜き、ようやく念願の先制ゴールを奪ったのである。そう、今のチームにはこんなオプションが不足している。中距離からもどんどん積極的に打っていこうぜ!そうすることで、きっとなにかは起こるから。
76分、メッシの素早いリスタートからのイニエスタの抜け出し、至近距離からのシュートが決まっていれば、ゲームはもうバルサのものとなっていただろう。しかしこれはクロスバーに阻まれ、ネットは揺らせない。77分にもチャビがいい飛び出しからシュートチャンスを得るのだが、6番はクロスを選択。あれは打っておかなきゃもったいない。
そうして80分、バルドがオビナとの上手いパス交換でバルサ守備ラインを突破し、バルデスと1対1勝負にも勝利して同点に成功してしまうのだ。チャンスを逃し、その一方で相手の少ない速攻でやられる悪いパターン。いつかどこかで見た光景に、クレは悪い予感がした。
だが、この日のバルサはそこからが違っていた。すぐさま83分、なにやら「仕方ないなぁ、本気でも出すか」といった様子で軽やかにボールを回し、最後はメッシがズバン。マラガ守備陣を打ち砕くチャビのスルーパスは壮麗であり、抜け出したアルベスのワンタッチの折り返し、締めのメッシのダイレクトシュートもお見事。こんなの出来るなら、最初からやっといてよとも言いたくなる。
そして試合の最後、せっかくのイブラ弾でカンプノウが盛り上がろうかというところを、ルビノス主審が前述のゴール取り消しでスタジアムは大ブーイングとなった。それでも同点で終わらず、苦しみながらも勝点3をもぎ取れたことでチームには弾みにもなるだろう。アルベスの存在の大きさが、再確認されたゲームだった。
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