バルサに次々と襲い掛かる試練。相手チームのバルサ対策、監督の退席、イブラヒモビッチの退場、二度に奪われたリード・・・。最後まで諦めずに戦ったバルサだったが、エンパテが精一杯だった。
カンプノウでの対戦では、チャビに徹底マークを付け、とことん守備的な戦術を採用してきたアルメリア。だが監督がウーゴ・サンチェスからファンマ・リージョへと交代し、彼らの作戦もまた違ったものとなっていた。ただ、期待された攻撃的フットボルの応酬はなし。リージョはバルサ用戦術を用意していた。オーソドックスといえば、そう。中盤での猛烈なプレスでバルサのゲーム作りを封じ、カウンターで一撃を狙う。ピアッティとクルサ(ペップは“二つの弾丸”と表現)による速攻はバルサ後方のスペースを脅かし、得点もライン裏を狙った攻撃をきっかけとして生まれている。
バルサはこの試合も、フレッシュさに欠けている印象だった。代表戦の影響か。フィジカル計画の影響か。やる気はあるのだが、身体がついていっていないような感じがする。逆にアルメリアの圧力は強力だった。前半で勝負の大勢を引き寄せるべく、飛ばすリージョの選手たち。成果はそうそうに訪れた。11分、サイドをえぐろうとするパスをクリアして与えたコーナーを、空中戦に競り勝ったシスマに頭で合わせられて先制点を奪われてしまうのである。懸命に守ったプジョルだったが、この日はカピタンに運が味方しない一日。そういう日はある。
動きが鈍いながらも、バルサ戦士たちはとにかく闘っていた。前半最大のチャンスは24分、エリア内への一斉攻撃でのメッシからのパスを受けたペドロによる、至近距離弾。だがGKディエゴ・アルベスがバルサの前に立ちはだかる。20分のチャビのフリーキックといい、ディエゴは随所で光るプレーを連発。アルメリアの手にしたエンパテは、彼によるところも大きい。
また、“事件”は26分に発生している。突如主審クロス・ゴメスがペップ・グアルディオラに対し、赤紙を提示。監督は退席処分となってしまった。これは痛い。とっても痛い。
30分を越える頃から、アルメリアは明らかに疲れを見せていた。バルサにとってはチャンスである。いつもであれば、じわじわと蛇のように締め付けていけばいい。ハーフタイム前には、呆気なく同点にも追いついている。41分、エリア際正面からのフリーキックを、メッシが意表を突くふわっとしたシュートによってゴールに入れてしまうのだ。天才によるずる賢いゴール。ディエゴ・アルベスは完全に逆を取られていた。イブラが得た微妙なファールからの得点だった。
いい時間帯に追いついて、ハーフタイム。後半はバルサがきっちりと逆転勝利を収めてくれるだろう。ファンはそう期待していた。しかし状況はペップチームにそんなストーリーを許さない。思いもかけない形で、バルサは再びアルメリアにリードを与えてしまうのだ。56分、速攻からのギジェルメによるクロスをカットしようとしたプジョルが、オウンゴールの主となるのである。。。厄日だ。
そして60分、クレの希望をそぐ出来事がもうひとつ発生する。ボールには関係のないエリア内での小競り合いで、イブラヒモビッチがシスマの足首を蹴りつけ、一発レッドで退場処分となったのだ。厳しい判定ではあったが、やむなし。試合中ずっと消えていた(流れを止めていた)ズラタンだったので、イラついていたのだろう。バルサは残り30分を10人で戦うことになる。
しかし皮肉にもというか、バルサのプレーはむしろイブラ退場後のほうがスムーズだった。状況的には相当にしんどかったが、決して諦めることなく、アルメリアゴールを目指した選手たち。その気迫はすぐさま66分、得点となって報われた。ペドロが左サイドで勝負を仕掛け、えぐってクロスを上げる。ギジェルメはそれをクリアしようとするのだが失敗、逆サイドへの折り返しパスとなってしまう。そこへメッシが突進し、ボールをねじ込んだのである。クラックの勝利への気合。素晴らしきかな。
その後も終了の笛が吹かれるまで、バルサはアルメリアを攻め続けた。一方、ゲーム終了が近づくことでファイトを取り戻したアルメリアも、時折カウンターでいい攻撃を見せた。終盤は双方にチャンスのある、オープンな展開となっている。エリア周辺でボールを展開し、シュートを放つバルサには得点の気配は漂っていたのだが・・・。アルメリアの集中した守りとディエゴ・アルベスの活躍により、スコアはそのまま動くことはなく試合は終了した。
その直後の試合にて、レアル・マドリーが0-2からの執念の逆転劇にて(後半ロスタイムにバンデル・バールト弾)、3-2の勝利。それによってバルサとマドリーは勝点で並ぶこととなり、得失点差でついに首位の座を明け渡すこととなった。彼らの勢いは超強力。次のバレンシア戦で逆襲の切っ掛けを掴まねば、厳しいことになりかねない。
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