二つの顔のバルサ。前半はしょぼしょぼ。後半はアクティブ。バレンシアは怪我人とガス欠に泣き、スーペルメッシが試合を決めた。
制裁を受けるペップ・グアルディオラがパルコから見守る中、難敵バレンシアをカサに迎えたFCバルセロナ。注目の前半は、目を覆いたくなるような出来栄えだった。キックオフ直後に意欲的に仕掛けていったのは良かったものの、ものの数分で失速。5分にはいきなり、バレンシアのカウンターによってピンチを招いている。
この試合から胸に輝く世界王者のロゴが皮肉に思えるほどに、見る影もないバルサ。動きは鈍く、パス精度は低く、ボールは全くつながらない。GKセサールへの道は遠く、あっさりとボールを奪われては裏を突かれ、どたばたと守備に奔走した。ゲームはバレンシアが支配。シンプルにボールを展開し、バルデスの守るゴールを幾度となく脅かしている。
前半は、ジョルディ・アルバ(カタラン人)の動きが良かった。5分の惜しいシュートは彼によるものだし、29分、シルバが放ったあわやというシュート(ピケが渾身のプジョル風ブロック!)も、パブロからのボールを落とした彼のプレーが光っている。30分にも、バルデスの好判断によってピンチをクリア。温存されたビジャがいれば、展開はまた違っていたかもしれない。
バルサのチャンスは31分になってようやく訪れる。メッシがパス処理をもたつくデアルベルトからボールをかっさらい、単独ドリブル突破。だが惜しくもそのシュートはセサールによってコースを変えられ、ゴールとはならなかった。また39分、メッシからのパスを受けたペドロが得意の形でチャンスを得るが、彼はこの試合のヒーローとはなれなかった。
ハーフタイム明け、ティト・ビラノバはボージャンをベンチに下げ、アンリを投入してくる。これがズバリ当たった。暗いニュースが続く悩める14番だが、この日はどこが不調か?と思うような溌剌とした動き。前線を広く使い、攻撃にダイナミズムをもたらしていた。またバレンシアは前半終了前にアルベルダを負傷交代させている。これも影響したか、チャビとイニエスタは後半になり活性化していた。バレンシアは動きが重く、バルサについてこれなくなった。
そこで暴れてくれるのが、メッシである。55分、チャビからの縦パスを受け、一気にエリア内に突入していくクラック。ひらりひらりとバネガ、ブルーノ、デアルベルトらのチェックをかわし、最後はセサールの壁もぶち破った。なんというテクニックか。なんてコントロールか。やってみたくても普通は出来ないプレーを、レオはあっさりとやってのける。
そのしばし後、リアクションが必要なバレンシアは65分、ピッチに巨人ジギッチを送り込む。そしてゲームはカギとなる瞬間を迎えた。68分、ライン後方のスペースへ上手く抜け出したジギッチが、エリア際にてバルデスとの1対1の場面を得るのだ。これが決まれば、1-1。試合は分からなくなる。だがこの勝負、我らが守護神が一枚上だった。呑まれたジギッチは簡単にシュートを選択し、バルデスはそれを弾いた。バレンシア後半唯一のチャンス(シュート)だった。
そしてバレンシアは崩れていく。69分、マドゥーロが2枚目のカードで退場。77分にはブルーノまでもが負傷によりピッチを去った。いつぞやのバルサを見るようでお気の毒だが、かといって遠慮はしていられない。バレンシアの左サイドはすかすかとなり、そこをメッシが突き破っていくことになるのだ。それを支えたのは、アンリのアシストだった。
まずは81分、センターサークル上のイニエスタによるヒールパスを受けた左のアンリから、逆サイドのメッシへと大きな展開。メッシは最初のトラップでバレンシアの先手を取った。中央方向へ切れ込む得意のドリブル、そしてゴール左へと突き刺すシュート。これぞレオ!というプレーにて、リードは2点となった。
さらにその数十秒後、今度は中央でポストとなったアンリからのスルーパスを受け、怒涛の突破にてメッシはハットトリックを達成。スタジアムの喜びは爆発した。テレビ前の視聴者は、その圧倒的な光景に唖然とするばかりである。リプレイ明けにまたゴールなんて、なんのこっちゃ判らない^^。
こうして非常に重要な意味を持つバレンシア戦を、バルサは3-0にて勝利した。後半のアンリのプレーが、今後のプレー改善の大きなヒントになりそうだ。なんだかんだで、やはりティティの能力は必要。イブラヒモビッチもこれでなにかを掴んでいてほしい。次はさあ、シュツットガルト攻略だ。ムード良し!いくぞ!
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