チーム力の差を示しての完勝。徐々にリズムを取り戻しつつあるバルサが、シュツットガルトを下して1/4ファイナルへと進出した。
敵地での第1戦を1-1としているバルサは、この試合は0-0でも勝ち抜けが決まった。だがそのようなシナリオを、このチームが選ぶはずがない。攻めて攻めて、勝利することだけを目指す。グアルディオラはこの日のスタメンからイブラヒモビッチを外し、週末のバレンシア戦で活躍したアンリを起用。このあたり、ツボを得ている監督だ。
この日のシュツットガルトは、3週間前とは様子が違っていた。そのプレーからは迫力が感じられず、お客さんといったところ。一方でいいイメージを示そうと燃えるバルサは積極的にプレスを仕掛け、ボールを展開していった。メッシ、アンリ、ペドロから成る攻撃陣も心地良さそうだった。
先制点はほどなく訪れる。14分、ピッチ中央付近でボールを受けたメッシがそのまま持ち上がり、左方面へと突き進んでいく。そしてエリア際から強烈なミドルを叩き込んだのである。デフェンサが前に3人ほどいたが、お構いなし。ここしかない弾道で、ボールはゴール左上に突き刺さった。
試合前に懸念とされていたチャビの離脱も、トゥレ・ヤヤの好プレーによって影響は特になかった。エリアをカバーし、ボールを供給し、エリアに飛び出し、攻守にわたって大活躍だったトゥレ。2点目のゴールも、その彼の攻撃参加によって生まれている。
22分、メッシからのスルーパスに反応したトゥレ・ヤヤがエリア左に猛然と侵入し、GKレーマンを引き付けてダイレクトに中央に折り返す。これをペドロがフリーで流し込み、勝負は事実上決することとなった。流れるプレーの中から生まれた、きれいなゴールだった。
2-0となり、シュツットガルトが勝ち抜けるためには最低でも2点が必要となった。この日の彼らに、それはきつい。バルサが油断をしなければ、まず不可能な任務だ。勝利をほぼ手中に収め、バルサはアクセルを緩めることにした。前半の残り時間は、バルサ管理下で何事もなく進行していった。
ハーフタイムが明け、後半が始まると、ペップチームはまた少しギアを上げた。完全に勝負を決めてしまうためのひと頑張りだ。そしてその時は、ほどなくやってきた。60分、またもメッシだった。ペドロが右サイドを切り裂き、エリア内から戻したところをアルベスが左横のメッシへ洒落たヒールパス。レオはひらりとターンをすると、ズバンと左足シュートをぶち込むのだった。天晴れなり。マークを引き付けていた、アンリも光っていた。
この3点目で、シュツットガルトの希望は完全に消滅した。あとはもう、更なるゴレアーダを喫しないよう、誇りを懸けて戦っていくのみ。気を良くしたスタンドからは、「Si si si , nos vamos a Madrid !(俺たちはマドリーへ行くぞ!」の歌も聞こえていた。
66分には怪我のブスケツに替わり、イブラヒモビッチがピッチに登場していた。残念ながらゴールには至らなかったが、プレーに参加しようという意欲は伝わった。あとはちょっとした切っ掛けと、自信だけだろう。ゲーム最後のボージャンへのアシストはいいプレーだった。
勝負は決まり、グアルディオラはいくつかのテストも試みている。ピケのピボッテもそのひとつ。メッシをメディアプンタとする新システムに、どういう中盤が機能するか見ているのだろう。ピケがピボッテとなれば、トゥレ・ヤヤをインテリオールで使える。ピケの中盤は好印象だった。
この試合、最後の嬉しいオマケはボージャンのゴールである。88分の登場では見せ場もないと思ったが、89分、最前線でポストとなったズラタンからスペースへボールが送り込まれ、それを受けたボージャンがレーマンとの1対1に勝利。シュートはポルテーロの足元を抜け、無人のゴールへと吸い込まれていった。最初のタッチでゴール。ボージャンの笑顔はクレを幸せにする。
そうしてゲームは4-0で終了。アルベスからの鬼クロスにより決定機はほかにも多数あったが、大満足のスコアである。さあ、1/4ファイナルの相手はどこだ。ベルナベウがまた一歩近づいてきた。
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