チームが必要としている時に、イブラヒモビッチが重要なゴールを決めた。そしてボージャンが勝利を決定付ける得点を決めた。それが大きい。
カンプノウでのオサスナ戦。ここ最近大活躍のレオ・メッシに休息を与えるならば、この試合かと思われていたが、ペップ・グアルディオラはそうはしなかった。監督はこの試合、2ヶ月ぶりとなる“トリデンテ”を始め、起用可能なスター選手たちを全て起用。このゲームへの意気込みを表した。
だがバルサ選手たちの動きは、悲しいくらいに悪かった。前日にペップは否定していたが、連戦による疲れなのか、メンタルの問題なのか。積極的にプレスを仕掛け、パスの出し所を封じてくるオサスナに対し、バルサはまったく精彩がなくどん詰まり。ゲームにも集中できてないようで、至るところでパスミスが繰り返された。ボールは停滞。ため息ばかりがこぼれる出来栄えだった。
この試合は、チャビとピケの不在が強く感じられた。シュツットガルト戦、サラゴサ戦では好感触だったトゥレ・ヤヤのインテリオールも、前半はさっぱり。パスを出すコースがなく、判断も遅く、ボールは乱れ、奪われてはピンチを招いていた。相手への圧力がまったく効いておらず、簡単に裏のスペースを利用されていた。
バルサとは対照的に、気合の入ったオサスナは前線から積極的にプレスを仕掛け、バルサ守備陣を脅かした。4分にはカウンターアタックから、バドーチに超フリー状態でシュートを許している。バルデスのパラドンに救われたものの、これが入っていれば結果は違っていた可能性は高い。とにかくバルサは中盤が機能せず、オサスナに決定力が欠けていたことで難を逃れた感がある。
だがハーフタイムの指示が効果を発揮したのか、後半になるとバルサは目を覚ました。システムはメッシをメディアプンタにおいた4-2-1-3に変更。アンリに代わり、ペドロが登場していた。この修正により、バルサのプレーにはダイナミズムが生まれていた。前半はさっぱりだったトゥレ・ヤヤにも生気が甦り、エリア周辺にも顔を出すように。オサスナは逆に、防戦一方となる。
52分と58分にメッシとトゥレがそれぞれ、あと一歩のところでゴールという場面を作り出す。メッシはペドロからのスルーパスに、トゥレはイブラからの横パスにほんの数センチ足が届かなかったのだ。そして71分、その2分前から途中出場していたケイタが、アルベスのクロスに頭で合わせるもGKリカルドが好セーブ。ムードは良くなっていた。もう少しという予感は漂っていた。
そして72分、ついにその時は訪れた。中央で粘ったペドロから左のイニエスタにボールが渡り、駆け上がってきたマクスウェルからのクロスをイブラヒモビッチが押し込んだのである。フラストレーションの溜まる展開だっただけに、この流れるプレーからのゴールはバルセロニスタの歓喜を爆発させた。引き分けのプレッシャーからも解放される、非常に貴重なゴールだった。
1-0となり、ようやくバルサは落ち着いてプレーできるようになった。82分には、メッシの左ポスト直撃弾。得意の持込から得意な角度で放ったシュートだったが、今回のレオには少々運がなかった。
だが代わりに、嬉しい叫び声を上げたのはボージャンだった。74分、ズラタンと交代でピッチに入っていた彼に、リーガでは開幕戦以来となるゴールが生まれるのだ。88分、イニエスタの左からのパスに、ニアで合わせたボージャン。密集地帯で相手デフェンサの前に入りこんでのシュートだった。チーム全員の祝福ぶりが、彼らの喜びを表している。
2-0となり、勝利は決定付けられた。苦しいゲームだったが、終わってみればイブラヒモビッチとボージャン、ふたりの悩めるストライカーがゴールを決めたのは大きい。あとは翌日に試合が控えるマドリーが、苦手ヘタフェ相手にポイントを取りこぼしてくれるとさらに嬉しいのだが。
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