ひやひやものの試合だったが、値千金のイブラ弾を守りきり、勝点3を確保。マジョルカは果敢にバルサゴールを脅かしたが、ポストに2度阻まれるなど、運がなかった。逆にバルサはツイている。
ソン・モイシュのピッチに、黄色ずくめのユニフォーム姿で登場したペップバルサ。驚かされたのはその見慣れないカラーだけでなく、先発メンバーもだった。過去16試合連続先発だったメッシをベンチに置き、ペドロ、ジェフレン、イブラヒモビッチからなる攻撃陣を組んできたのだ。アンリとピケはアーセナル戦に備えたか、最終メンバーから外された。
キックオフ直後、マジョルカがまず決定機を掴む。開始3分のことである。速攻からのアドゥリスのシュートが右ポスト直撃。さらに跳ね返りをカストロに拾われ、あわやのシュートを放たれるのだ。これはバルデスがジャンプ一番、弾き出している。聖ビクトル、ここにあり。決まっていれば、ヤバい場面だった。
マジョルカはその後も、どんどんと圧力を仕掛け、バルサ陣内に攻め入っている。これまでオノ・エスタディで13戦12勝の実績は伊達ではない。中盤にチャビもブスケツもおらず、トゥレの出来もいまひとつのバルサは中盤の攻防戦で優位に立てず、マジョルカのチェックに息苦しさを覚えていた。ボール支配率は高かったが、ペースはチームマンサーノにあった。
序盤、攻守に冴えをみせたのはガビ・ミリート元帥である。バルサの最初のシュートにして決定機は、16分、右コーナーからのミリートの強烈なヘディング弾。怪我から復帰後、ガビのコンディションは着実に上昇していて、それはとても心強い。
その他、バルサのチャンスは22分の、プジョルからのナイスパスを受けたイブラヒモビッチのエリア侵入。だがこれはGKアワテの好守に阻まれ、シュートに至れていない。26分にはペドロからのパスに抜け出したズラタンがシュート。これもアワテが1対1に勝利した。28分には、上手くスペースを突いたジェフレンがフリー状態でシュート。惜しくもこれは枠を外した。
一方、42分にはマジョルカがまたもポストに嫌われる。ボルハ・バレロのフリーキックが右ポストを直撃し、バルセロニスタは胸を撫で下ろすこととなった。ゲームはそのまま、0-0でハーフタイムに入る。
後半すぐ、バルサを悪い出来事が襲った。50分、イニエスタが怪我によってピッチを去り、メッシが予定より早く登場することになったのである。さらにその10分後には、トゥレ・ヤヤに替わって怪我から復帰のチャビがピッチへ。ボールを持てる選手たちが現れたことで、バルサのボール回しには改善が見られた。
そしてその直後、62分のコーナーキックで、ゴールが入るのだから不思議というかなんというか。さっそくのチャビが蹴ったボールをニアのプジョルとマルティが争い、アワテが弾いたところを遠い側にいたイブラヒモビッチが押し込んで先制。欲しくて堪らなかったゴールが、決めて欲しい男によってもたらされた。吼えるイブラ。これでリーガ最多、8回目の先制弾。
またその5分後、イブラヒモビッチはロナウジーニョを彷彿とさせる背中トラップを披露。右ペドロからのクロスを背中で絶妙に落とし、メッシのシュートをアシストしたのだ。すごい。メッシのシュートは決定的だったが、飛んだ位置がアワテの正面。コーナーに逃れられている。
ゲーム終盤は、どうにか同点に追いつきたいマジョルカの懸命のプレーが続いた。バルサ守備陣が決定的場面を許すことはなく、後半のシュートもわずか2本に押さえ込んでいるのだが、如何せん1点だけのリードでは心臓に悪い。陣内に攻め込まれるたび、ひょっとしたら・・・と心配することとなった。こういう試合のロスタイム4分は、ご勘弁である。カサでのマジョルカはやはり手ごわかった。
バルサはしかし、執念を見せるマジョルカを無難にいなし、虎の子の1点を守り抜いた。序盤の幸運に助けられたのは大きかったが、こうしてタフなゲームを逃げ切れるのも勝負強さ。そしてあまり期待は出来ないが、白いライバルにプレッシャーをかけつつ、マドリーダービーでの吉報を待つ。意地を示しておくれ、アトレチコ!
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