発表されたスタメンは、驚くべきものだった。火曜日のアーセナル戦を見据え、ミリートにチャビらを温存。チグリンスキーを第15節以来となる先発起用をし、中盤左にマクスウェルを配置した。右はジェフレン。全員を信頼しているぞ、という監督のメッセージが込められている。
正直、これで大丈夫か?と思えるメンバー。もしポイントを落とすようなことがあれば、ペップへの批判は避けられなかっただろう。「信頼」を言葉だけでなく行動で示す。この勇気はすごい。そして選手たちはそんな指揮官の期待に応えた。誰がピッチに立とうと、目指すフットボルは同じ。サプライズイレブンたちはいつもこの先発であるかのように、自然にバルサのフットボルを実行した。
たしかに最初は、アスレチック守備陣の穴を見つけるのに難儀し、仕上げのシュートまでは上手く持ち込めずにいた。しかし精力的にブスケツとトゥレ・ヤヤが中盤をカバーし、次々に前線へとボールを供給。アビダルの前に位置したマクスウェルも攻守にわたって存在感を発揮した。序盤はメッシとボージャンで攻撃をリード。すると徐々にビルバオの守備にほころびが見え始め、26分、先制の瞬間は訪れるのだった。
怪我後、先発に復帰するや、いきなりエンジン全開のアビダルがメッシのパスを受けて抜け出し、グラウンダーの完璧クロスを供給。これをファーのジェフレンがフリーで決めた。角度はあまりなかったが、気合でゴールへ押し込んだ形だ。これにてジェフレン、公式戦初ゴール!おめでとう!
試合前、「ハードにいく」と宣言していたアスレチックだったが、バルサのパス回しを前に、特に前半はほとんど自由にプレーは出来なかった。唯一のチャンスは33分のカウンター。左のガビロンドからのクロスを、中央でフリーのジョレンテが打ち上げた場面だ。シュート直前でチグリンスキーがボールの勢いを弱め、バルデスが詰めて圧力をかけたことがジョレンテに余裕を与えなかった。
そしてハーフタイム前に、ボージャン祭りの第一幕。プジョルが相手ボールをカットし、すかさず中央のボージャンにスルーパス。我らが11番は巧みにデフェンサの間をすり抜け(最初のタッチが見事!)、GKゴルカ・イライソスも冷静に処理、ゴール左隅にボールを突き刺した。これぞゴレアドールの仕事なり。
後半、序盤のペースはアスレチックが握ることになった。バルサ戦を得意とするトケーロの投入が、効果を発揮。前半とは見違えるようにビルバオはバルサ陣内に押し入り、コーナーキックから惜しい場面を何度か作り出していた。そこでペップはすかさず、チャビをピッチに送り込む。これにてゲームは落ち着き、再び流れはバルサに傾いた。
勝利を決定付けたのは、58分のボージャン祭り第二幕である。メッシがエリア内にボールを送り込み、するりとスペースに入ったアビダルがダイレクトで戻す。これを受けたボージャンが、今度はエリア際より強烈なシュートをぶち込んだのだった。誰もがアビダルに引かれ、ボージャンはフリー。シュートの正確性も素晴らしかった。
さらにその10分後には、この日も省エネモードでメディアプンタをこなしていたメッシが、俺も忘れるなとばかりに4点目の主となる。右サイドを途中出場のペドロが切り裂き、折り返したボールに中央でパッと飛び出したメッシが合わせたのだった。股間を狙う、憎いシュート。ボールはゴルカの足に当たるも、そのままゴールへと転がり込んだ。
4-0となり、勝利はもう揺るぎのないものに。ここでバルサのギアは落ち、必然的にアスレチックにチャンスは訪れる。心はどうも、アーセナル戦に飛んだようだった。そして名誉の1点を、ビルバオは返す。76分、速攻からスサエタが抜け出し(オフサイド網突破)、最後のバルデスの壁も攻略した。スサエタは序盤からの頑張りが、報われたといえよう。
その後も、アクセルを緩めたバルサにアスレチックは攻勢に出た。だが二度ほどあった危ない場面も、聖ビクトルがばっちりセーブ。これで何故代表に選ばれないのか?と不思議なほど、バルデスは毎回いい仕事をしてくれる。
ゲームはそのまま、4-1で終了した。そしていよいよ運命の一週間、アーセナルとマドリーだ。この重大局面にきて、バルサの状態はぐいぐいと上り調子。両チームとも、さぞかし圧力を感じていることだろう。メンバーを工夫してもこの内容、このスコア。非常に期待がもてそうである。バモス!
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