バルサがアーセナルを終始リードしたゲームだったが、メッシの活躍が凄すぎた。もはや言葉もない・・・と各メディアも呆れ気味のギガクラックの超絶パフォーマンス。のってる彼を、止める術はもはや存在しないようだ。
ゲームは序盤、比較的ゆっくりとしたリズムで始まっている。ロンドンでのような激しいテンポではなく、ガナーズの出方を見るようなバルサ。圧倒的なパス展開で一気に勝負を決めにくるか、と思っていたファンにとっては少々肩透かしだった。ただ、ボールはペップチームが危なげなくコントロールしている。アーセナルは引かず、哲学に従ったプレーを実施した。
物語が動いたのは18分のことだった。グラウンド中央でディアビがかなり強引にミリートからボールを奪取、即座に前線のウォルコットへとボールを送り込む。一気のカウンターから、ウォルコットはエリア際にて左のベントナーへとパス(オフサイド)。最初のシュートはバルデスがかろうじて弾くも、こぼれ球を押し込まれて先制を許すのであった。
だが、アーセナルの見せ場はここまでだった。ここから後はバルサ、いやメッシの独壇場となる。我らがクラックは、ファンに心配する時間すら与えなかった。先制されたわずか2分後、レオはあっさりと同点弾をぶちこむのである。ペドロとパス交換しつつ、エリア際へと攻め入るメッシ。一度ボールは守備陣に引っかかるのだが、その跳ね返りへの反応が彼は尋常ではない。恐るべきスピードで左足を振りぬくと、ボールはズバッとアーセナルゴール右角へと突き刺さった。えぐい。
この同点ゴールは、両チームに効いた。いけるかも、の思いを呆気なく折られたアーセナルと、イケイケムードになったバルサと。カンプノウは10番のゴラッソに沸きあがり、プレーリズムは加熱した。ここからはもう、ゲームは圧倒的にペップチームのものとなる。メッシのものとなる。
追加点は36分だった。メッシからのスルーパスにアビダルがエリア内に侵入し、中央へセンタリング。このボールはデフェンサの足に当たるのだが、ペドロが優しく後ろへ戻し、詰め入ったレオが極めて冷静に、右足でボールを放り込んだ。呆然とするガナーズ陣営。
この日のレオは、貪欲だった。ショックを隠せないライバルにさらなる打撃を見舞ってみせるのである。41分、ケイタの気の利いたヘディングパスでアーセナル守備陣の裏へ抜け出すと、出てきたGKアルムニアをあざ笑うかのように、余裕のバセリーナで料理。わずか21分でハットトリックを達成し、事実上、ゲームを決定付けた。恐るべき才能。なんという引き出しの多さ、決定力。アーセナルは堪ったものじゃなかったろう。
3-1で迎えた後半、ゲームはしばし何事もなく進んでいく。2点を返すためには、アーセナルは前に出て行くしかないのだが、ロンドン戦とは異なり、バルサは気持ちを緩めることなく、危なげないロンドにて相手の攻めをかわしていた。ボールを奪われても、速いプレスでそれを即座に取り返す。上手い具合に時間を経過させるバルサだった。
ただ、52分、バルセロニスタにとって悪いアクシデントが発生している。週末のアスレチック戦で復帰を果たしたばかりのアビダルが負傷。ロッカールームへと退いたのである。初期診断では、全治10日。クラシコには出られない。
アーセナルにチャンスらしきものがなかったわけではない。少ない希望に賭けた彼らは、最後までフットボルを放棄することなくプレーしていた。だがミリートの落ち着いた守りなどにより、決定機は作れず。61分、ベントナーのポスト直撃ヘディングは驚いたが、これはオフサイド判定だった。
無理をする必要のないバルサも後半、それほどチャンスは手にしていない。惜しかったのは60分の、メッシの抜け目ない早いフリーキックによって完全に単独でラインを突破したペドロのシュートと、86分のマクスウェルの至近距離弾くらい。そしてあとひとつ、メッシがまたもや個人的突破によってゴールを決めるシーンである。88分、40mほどの位置でボールを受けるとクラックはそのままデフェンサたちを引き連れながらエリア内まで侵入し、一発目のシュートはアルムニアに防がれるものの、こぼれ球を今度は股抜きシュート。憎らしいほどの落ち着きで、4点目をゲットした。
こうして、メッシ祭りは終了した。レオが絶好調のこの時、守備陣が揃わない状況で彼と対峙せねばならなかったアーセナルはお気の毒だった。また来年以降、今度はフルメンバー同士で対戦したいものだ。
さあ、バルサはこれで3年連続のセミファイナル進出。次のステージでは、モウリーニョのインテルがバルサを待つ。サンチャゴ・ベルナベウまであと二試合。このままの勢いで、勝ち上がっていこうぜ!
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