現役王者が、王者たるところを見せ付けた試合。いつもとは異なるスタイルながらも、きっちりと勝ちきる強さを示した。ペップバルサ、クラシコ4連勝!
スコアこそ、さすがに昨年の2-6再現とはならなかったが、バルサのマドリーに対する優勢は明らかだった。威信を賭けてこの決戦に臨んだ世界最高額チームも、六冠王者には歯が立たない。クリスティアノはバルサ相手の相性の悪さをさらに継続させ、逆にメッシは違いを示した。屈辱的なスコアこそは逃れたものの、ライバルに四度続けて膝を屈したことで、さぞ心は痛かろう。
ペップ・グアルディオラはこの試合、またも驚きのメンバーを先発として送り込んできた。プジョルを右ラテラルに置き、アルベスをなんとエストレーモとして起用したのだ。そして2-6クラシコの英雄であるアンリはベンチとし、若獅子ペドロを選択した。
絶対に勝利を必要とするマドリーは、バルサを攻略するためにまず守備から入ってきた。厚くプレスを仕掛け、バルサ自慢のパス展開を封じようとした。ただ、そのチェックの度合いはラフ気味。前半のファール数16が、それを表している。ペジェグリーニは不本意かもしれないが、フットボルをやろうとしていたのはバルサだけだった。
ゲーム序盤は、スピードある突入によってクリスティアノがメッシより目立ってはいた。しかしプジョルを筆頭とするバルサ守備陣が冷静に、確実に対応し、大きな仕事はさせていない。正直、ロナルドは怖くなかった。イグアインも同じ。3億ユーロをつぎ込もうと、粗雑で潰し優先フットボルだけが武器ではバルサには勝てないのだ。
先制点はバルサだった。32分、チャビとのワンツーによってメッシが白守備陣ライン裏に抜け出し、胸トラップのコントロールにてアルビオルをなき者とすると、即座の右足シュートでカシージャスも攻略。ギガクラックの今季通算40回目のゴールは、それまで強気だったベルナベウを沈黙させるに十分だった。あれだけ注意をしていたのに、メッシは止められないのか・・・。不安がマドリディスモを覆う。マドリーがレオに出来ることといえば、足首を蹴って倒すことくらいだ。
ゲームは0-1でハーフタイムに入る。45分を通じての決定機は、両チームあわせてメッシのゴール場面のみ。世界一選手の決定力が光った。だがこれはいえる。ぎくしゃくながらも試合をコントロールしていたのは、ペップチームだった。奇策アルベスのエストレーモ起用は機能しなかったが、チームブロックでバルサはマドリーを凌駕。後半からペップは、ダニを本来のラテラルへと戻している。
後半、逆転へのプレッシャーを受けたマドリーは攻勢に出てくる。彼らの最初のチャンスは55分、ロナルドが至近距離からバルデスを脅かしたシーンだ。だが我らが守護神はこの試合も抜群の安定感を披露。その後も、オフサイド網をかいくぐったバンデル・バールトとの1対1にも勝利するなど、ポルテーロ対決でもバルサに軍配が上がっている。
後半もバルサは、巧みにボールをコントロールした。ハーフタイム後はしばしマドリーに押し込まれはしたが、63分にイニエスタを送り込むと事態は沈静化。時間が経過し、焦るエル・ブランコとは対照的に、決して集中を失うことなくクールな頭脳でゲームを流していった。オトナのプレー運びというか。多くのファイナルを経験してきたチームの余裕が感じられた。
追加点のタイミングも良かった。マドリーが前がかりになっている隙を突き、チャビからペドロに絶妙なスルーパスが渡る。ペドロはそのままドリブルでエリア内に切れ込み、カシージャスの位置を見て届かないコースにきっちりシュート。ボールは左ポスト横に転がり込み、ベルナベウの沈黙はいよいよ深くなった。
チャビの指揮者ぶりも光っていた。2得点へのアシストに加え、71分と77分にもメッシに完璧なパスを供給。2列目から飛び出すメッシの動きにマドリー守備陣は対応できず、カシージャス意地のパラドン(X2)がなければゴレアーダとなっていたところだ。
後半45分、シュート数ではエル・ブランコがバルサを大きく上回っている。だがその大半は淡白かつ単発のシュートで、まったく脅威ではなかった。時間の経過とともに、ゲームは文字どおり終わっていった。強まっていく、マドリーの無力感。終盤はペップチームがのらりくらりとペジェグリーニ集団をいなし、力の差を存分に示した。クラシコとは思えないほどの、手続きタイムになった。
そうして、試合は0-2で終了。真実の時は、真実を世界に教えてくれた。王者たるのは、FCバルセロナである。あとは残る試合、これまでと変わらず気を緩めることなく、着実に3ポイントを重ねていくのみ。リーガ連覇に大きく近づいたが、まだレースは終わっていないのだ。でもとりあえず、今日の日はフィエスタで。いい一日をありがとう!
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