ここ数年、エスパニョールはバルサ相手にやたらと頑張る。それがまたしても繰り返された試合だった。ペリコがファールを執拗に行い、それを審判が許可する構図も見慣れた光景だ。
FCバルセロナには、シーズンに大一番は何度も訪れる。先週のクラシコしかり、次のチャンピオンズ・インテル戦もしかり。一方でエスパニョールにとっては、このデルビーは一年で最大ともいえる決戦だ。このゲームに懸ける彼らの気合はいつも厄介。またしてもバルサを嫌というほど苦しめてくれた。
またこの試合前、大会委員会による謎の決定も二つあった。前節ラシン戦で退場となっていたカメニ、そして今節は出場停止となるはずだった白組アルビオルのカードが取り消され、出場可能となっていたのだ。クレからすれば、疑いの眼差しを送りたくなる裁定。ビジャラートが笑わせる。
逆風はそれだけではなかった。主審を務めたウンディアノ・マジェンコがエスパニョールのハードなプレーを見逃し、バルサの手足を縛ったのだ。たしかにペリコの圧力は激しく、プレーの端々から打倒バルサの気持ちは伝わってきたが、ジャッジ傾向が彼らにやり易くさせていたのは間違いなかろう。バルサへの判定は厳しい目だった。
前半のバルサは、エスパニョールに何もさせてもらえなかった。いつものようにチャビはチカに打ち消され、圧力に押されてパスは2つつなぐのが精一杯。攻撃にアイディアはなく、前線に攻めの基点もなかった。偽のプンタとなったメッシまで、ボールが届かない。いくらギガクラックでも、単独突破には限界があった。ペリコの守備は実に効果的。リーガ後半戦以降、コルネージャでは一失点すらしていない実績は偶然ではない。
一方でチーム・ポチェッティーノはカウンターを主体にバルサ守備陣を攻め、前半に3度ほどチャンスを手にしている。オスバルドは存在感を発揮。ピケとの争いは見応えがあった。バルサ最大のピンチはハーフタイム直前。左カジェホンからのクロスにオスバルドが上手く右足で合わせたが、バルデスが気迫で弾き、さらにポストがそれを弾いた。ネットを揺らさなかったのが奇跡といえた。
前半、やや策に走りすぎた感のあるバルセロナ。ペップは後半早々の57分に二人同時の選手交代を行い、流れを引き寄せにかかった。チャビとメッシが少しずつポジションを後ろに下げ、ボールを幾分ゆとりを持って操れるようになったのだ。前半に飛ばしていたエスパニョールも疲れが見えていて、勢いは明らかに落ちていた。バランスはバルサに傾きかけていた。59分にはメッシが、このゲームで唯一といえるシュートらしいシュートを放ち、カメニへの警告としている。
しかし流れがバルサに近づいていたこの時間帯、思いもよらない出来事が発生。事態は一変する。61分、バルサはコーナーキックから逆にカウンターを食らい、疾走するカジェホンを止めたアルベスがこの試合2枚目のカードで退場となったのだ。ペリコには甘めなのに!彼らのカードは何度も見逃されたいたのに!アルベスには1枚目のカードが痛かった。中心選手を失い、ペップチームは大きなダメージを受けた。この時点で勝機はほぼ消えたといえる。
すでに交代枠を二つ使っていたバルサは、このピンチをブスケツのセントラル配置で乗り切るしかなかった。勝利への望みを、終盤でのイブラヒモビッチ投入に賭けたのだ。残り20分をすぎ、ゲームはオープンな展開となっていた。せわしなくバルサ陣内からエスパニョール陣内へと飛び交うボール。だがアンリもズラタンも、ボールを落ち着かせることは出来ない。中盤が欠けたバルサはゲームを作れず、クラックの輝きに期待するだけだった。そしてそれは訪れなかった。さすがのメッシも、いつも助けてはくれない。
守備陣の踏ん張りにより、ペリコにも決定機を与えなかったのが救いか。試合はそのまま0-0で終了。バルサは優勝争いに重要な2ポイントを失い、翌日のバレンシアに淡い期待をかける。ただ、目の色を変えたマドリーがここでしくじることはないだろう。リーガは最終局面まで厳しい戦いとなりそうだ。この試合の教訓は・・・“バルサはもっと能動的にいこうゼ”ということか。インテル戦へのいい勉強としたい。
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