モウリーニョ・インテルが会心のゲーム。ペップチームは全く好いところがなく、惨めなイメージを残してイタリアを去った。もうちょっとマシな負け方はなかったものか。
先発はエミレーツでのアーセナル戦と同じ11人だった。しかしこの日の出来は、3週間前には遠く及ばない。プレスは緩く、パスの精度もスピードも低く、チーム全体に活気がない。1000キロものバス移動が影響していたのかもしれない。そんな作戦だったかもしれない。序盤は静かにやってきたインテルに引っ張られたのかもしれない。試合を通じ、バルサに迫力は微塵もなかった。
中盤を厳しく潰しにくるかと見られていたインテルだったが、チャビやメッシへの圧力はさほど強くなかった。だが上手い具合に追い込んでいき、窒息させてボールを奪う。そして一途ともいえる最終ライン裏への縦のボール。モウチームはシンプルにそんなフットボルを実行した。何度オフサイドに引っかかろうともだ。
最初の決定機は17分、インテルだった。エトーのミドルシュートをバルデスが弾き、詰め寄ったミリートがシュートを放ったのだ。肝を冷やす瞬間だったが、ボールはわずかに枠の外。
だがその2分後、先制点はバルサがゲットした。マクスウェルがするするとゴールライン際まで切れ込み、戻したボールをペドロがズバン!さすがの勝負強さをみせたPR17のゴールにより、バルサは最初の目標をクリアすることになった。
リードを奪われようとも、インテルは動じることがなかった。このあたり、さすが。それまでと変わることなく彼らはバルサのボールを摘み続け、相手のエラーを待った。そして27分のミリートのあわやというシュートを挟み、30分、イタリアーノは同点に追いついてみせた。右のエトーからのボールを中央のミリートが受け、左の超フリーのスナイデルへ。元白組の業師はこのチャンスを逃すことなく、冷静にシュートを突き刺した。
そうしてインテルは、徐々に圧力の度合いを強めてきていた。。ボールを上手くバルサに回させながらも、効果的な攻めはさせない。1点は許したものの、モウリーニョのプランはしっかり実行されたようだった。一方でバルサはどうか。クレの心はすっきりしないまま、1-1でハーフタイムを迎えた。
15分の休憩で状況の改善を願ったバルセロニスタだったが、さらに酷いのは後半だった。まずインテルが、ここぞとギアを一気に上げてきた。最初の2分でいきなり2度チャンスを作られ、そのうちのひとつをモノにされたのだ。カウンターだった。パンデフからのパスをミリートがエリア内で受け、突進してきたマイコンがケイタに引っかかりながらも執念でゴール。インテルはますます狙い通りに試合を進めることになる。
大いに盛り上がるジュゼッペ・メアッツァ。逆にバルサはこれにショックを受けたようだった。追い討ちをかけるように、51分にはプジョルがカードをもらう。これにてカピタン、次節出場停止。
バルサはこの後、二度ほどチャンスを掴む。右から持ち込んだメッシの前が開き、得意のシュートを放った場面と、54分、コーナーからのブスケツのヘッド弾だ。特にブスケツのシュートは惜しかった。メッシがいい形でシュートを打てたのは、ここくらいだ。
バルサにとって痛手なのは、61分のインテルの追加点である。バルサは攻めに転じようとしたところでボールをカットされ、ショートカウンターを食らう。ライン裏へ出たエトー(右)からクロスが送られ、ファーのスナイデルからボールを受けたミリートがフィニッシュ。ミリートは見るからにオフサイドだったが、ポルトガル人主審ベンケレンサはこれを認めた。
インテルは後半、3本のシュートで2点。実に効率がいい。
精力的なプレーによって、インテルの選手は終盤になるとかなり消耗してはいた。足がつり、75分に交代した殊勲ミリートはその例だ。だがペップバルサは、そのリズムの低下を活かせなかった。こちらもまた消耗していたのだ。気持ちのバテもあったように見えた。
終盤、モウリーニョは2点のリードを守るべくエリア前にバスを並べた。中央はこれで大渋滞。バルサとしてはサイドをえぐりたかったが、アルベスのクロスはとにかく精度が低かった。84分にはそのアルベスがスナイデルのタックルを受けてエリア内で倒されるも、主審はダニの演技だと判定。ダニにカードが示された。
最後はピケを前線に張り付かせるという強硬手段も上手くいかず、バルセロニスタを暗い気持ちにさせたまま試合は3-1で終了した。主審にはたしかに不満はあるが、それだけでは済まされない、酷い夜だった。選手たちの気迫にも、ペップの采配にも、大いに疑問の残る試合。カンプノウでの2-0は可能な目標とはいえ、このゲームを見た直後では、不安の方が強く先に立ってしまう。土俵際に追い込まれ、ペップチームは第2戦に臨むことになった。
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