第1戦でのリードをがっちり守りにいったインテルと、それを崩せなかったバルサ。チームモウリーニョを相手に、2点を返すのはやはりきつかった。
愛するチームの2年連続ファイナルを後押しするため、スタジアムに詰め掛けた9万強の大観衆。スタンドはゲーム開始前より盛り上がり、各所で勝利を信じる歌が聴こえていた。そして選手入場時の、巨大モザイク。バルセロニスモの逆転へかける気持ちが表れていた。
ペップはこの大一番でも、サプライズ起用を行ってきた。トゥレをセントラルのサポートとし、基本をアルベス、ピケ、ミリートの3バックとしたのだ。インテルは攻めに数を割いてこないと読んだ起用だろう。
試合は予想されたように、インテルが守り、バルサがボールを支配する展開となる。モウリーニョチームはほぼ、攻撃を放棄し守備に専念していた。バルサは序盤、焦ることなくじっくりと攻める姿勢をみせる。エリア周辺を固めるインテルの前に効果的なパスはそう出せず、ほとんどのボールは相手の網にかかっていくのだが、まだ序盤では焦りはなかった。そういう試合だとみな思っていた。
結果的にバルサを難しくしたのは、28分のモッタの退場である。ボールを競り合う中でブスケツの顔を押し、倒したことでモッタは赤紙。お気の毒ではあるが、彼らしいファールとその顛末ではあった。
10人になったことで、インテルは前に出る意思をさらになくし、徹底して守る算段となった。そんな相手に、バルサは有効打が打てなかった。特に不足していたのは、サイドでのコンビネーションによる崩しと、中央での縦への突破。機会を狙ってはボールを回すのだが、インテルの守りは堅い。ルシオ、サムエルの両セントラルを慌てさせることは出来なかった。
前半の唯一ともいえる決定機は、32分、右方面から中央へ切れ込み放たれたレオ・メッシの左足だった。いいコースを突いたシュートだったが、GKジュリオ・セーサルがジャンプ一番これを弾き出した。
そして後半。グアルディオラはインテルが亀になったことでミリートを下げてマクスウェルを送り込む。サイドをより広く使い、縦に攻めることの意思表示だった。しかし悲しいことに、バルサの攻撃のなにが変わったかといえば、特になし。ペップは更なる一手としてボージャンとジェフレンを投入する。退いたのはイブラヒモビッチとブスケツだった。
イブラは第一幕に続き、第二幕でもいいところがなかった。引きこもるライバル対策としてのズラタンだったはずだが、チームは彼の使いこなせず、彼もまた闘志を示せなかった。バルサの9番を背負う男として、ギラギラした気迫、執念が感じられなかったのが良くない。
ボージャン、メッシ、ペドロ、ジェフレンからなるデランテロ陣。カンテラーノ満載で喜ばしくはあるのだが、反面、局面を打開してくれるベテランがいないことの証明でもあった。後半、場面をがらりと変えてくれるような選手がほしかった。
インテルのバスにことごとくボールを弾かれ、時間は着実に過ぎていく。バルセロニスタは願った。とにかく、一点奪えれば流れは変わるのに・・・。その待望の時がようやく訪れたのは、82分になってのことだった。チャビからのパスを受けたピケがオフサイド網を抜け、エリア内に抜け出す。チェックに迫るコルドバを華麗なるターンでひらりとかわし、そのまま冷静にボールをゴールに流し込んだのだ。セントラルとは思えない、デランテロ並みの動き!技術!カンプノウは息を吹き返した。
1-0となり、これであとどんな形であれ、もう1点入ればバルサの勝ち抜けが決まる。インテルにはすでに攻め手はない。クレは甦った希望にテンションを上げた。バルサは最後の気合で相手陣内へと攻め込んだ。望みを乗せ、シュートを放った。だが仕上げに決め手を欠いた。
後半ロスタイム、ボージャンが昨年のイニエスタ弾の再現のごとく巧みなシュートでネットを揺らすのだが、その直前のトゥレ・ヤヤのプレーがハンドの判定となり、ノーゴール。歓喜の絶叫は、落胆のため息となった。
そして審判は試合終了を宣告。ベルナベウの決勝へたどり着くというバルサの夢は、あと一歩のところで霧散した。180分を通じインテルが上手く立ち回り、バルサはそれに対抗し切れなかった。
がっくりのバルセロニスタだが、間髪を入れず、土曜日にはリーガ戦(フエラでのビジャレアル!)が待っている。ここでうな垂れている余裕はない。頭を上げ、もう一度戦っていくのみだ。
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