冷たい雨の降り注ぐカンプノウ。前節ビジャレアル戦からもわずか3日後と、コンディションは優れない状況ではあったが、カンテラーノが躍動しきっちり勝点3を確保した。
リーガ35試合終了時点で、獲得ポイントに55の開きがある両チーム。だが試合はその数字どおりとはいかなかった。テネリフェを跪かせるために、バルサは大きな労力を必要としたのである。特に前半はペップチームにとってしんどい展開だった。
この日もピッチ上には、怪我で欠場かと伝えられたチャビの姿があった。ビジャレアル戦でもそうだったが、わが身を犠牲にしてでも、彼はチームへの貢献を優先した。天候は雨。低い気温。チャビのその気持ちは嬉しいが、ファンとしては怪我が心配で心臓に悪かった。
テネリフェはカンプノウでは多くを望まず、主力を3人ベンチに温存している。彼らにとってより重要なのは次の試合だ。だがバルサは今回は動きが芳しくはなかった。守りを優先するテネリフェに対しボールはほぼ支配することが出来たが、相手に脅威を与えるのは四苦八苦。パスにミスが多々見られ、それでピンチになる場面も目立った。前半は特に危なっかしかった。
ただ、少ないチャンスでも活かしてしまうのがメッシのすごさだ。17分、アルベスの狙い澄ましたセンタリングをイブラヒモビッチが頭で落とし、ニアに詰め入ったレオが右足でちょこんと押し込んで先制。角度もなく、GKアラゴネセスも壁となったが、それでも決めてしまうのが仕事人だった。
バルサにとって惜しかったのは、その後の決定機で2-0にしてしまえなかったことだ。22分のメッシの得意の形からのシュートはわずかにポストの左に逸れ、35分にはマクスウェルが左から崩しておきながら、マックスはパスではなくシュートを選択。イブラにボールを譲っていれば・・・。
そして39分、エラーからテネリフェに同点に追いつかれてしまう。プジョルがトゥレ・ヤヤに送ったボールがずれたところをカットされ、コメ、ロマンとつながれてバルデスも攻略されたのだった。バルセロニスタの脳裏には、ちらりと最悪の結末もよぎった。さらに泣きっ面に蜂の出来事も。ピケが右足にダメージを受け、前半でピッチを去ることになったのだ。
ただ、代わって登場したペドロが前線に活力をもたらしていたため、ピケの負傷交代はダメージとはならなかった。後半の序盤は同点で希望が甦ったテネリフェが、積極的に出てきていた。攻守の切り替えが速く、前線から圧力をかけては、バルサエリアに迫ろうとする。とはいえ、主力を休ませたこともあり破壊力はさほどでもない。オルトラ監督は61分にエースのニノを投入しているが、後半のテネリフェのシュートはわずか1本に止まっている。
後半となって、雨は強さを増していたようだった。さすがのバルサもボールコントロールに手こずり、上手く攻めきれないシーンもしばしば見られた。だが苦労はしても、勝てる力がバルサにはある。必殺カンテラーノという武器がいるのだ。イヤな雰囲気をカンプノウから振り払ってくれたのは、自家産ゴレアドールたちの輝きだった。
まずはボージャンだ。62分、右から中央へメッシのごとく切れ込んだダニ・アルベスから鬼のスルーパスが繰り出され、抜け出したボージャンがこれをズバッと突き刺した。これはもう、スペクタクルなボールを出したアルベスが天晴れ。ビジャレアル戦から、ダニの調子が好い。
ボージャンの勝ち越し点によって、カンプノウに落ち着きが戻っていた。そしてその落ち着きをより強固なものとしたのが、聖ペドロの追加点だった。77分、メッシがドリブルにて猛然と駆け上がり、前線のペドロに向かってパスを送り込む。このボールはデフェンサの足に当たってしまうのだが、それがかえってペドロへの好アシストとなり、我らがPR17はきっちりと仕上げを果たした。ペドロは流し込むシュートが実に上手だ。3-1。これにてゲームは大勢が決した。
その後、バルサはニノにネットを揺らされはしたものの、これはオフサイド。そして後半ロスタイム、英雄メッシが今季リーガ31得点目となるゴールをあげ、4-1で試合は終了する。右を滑走するアルベスからのクロスを事もなく左足でトラップし、ポルテーロの位置を確認して右足でのコントロールシュート。お見事としか言いようがない。
途中までは苦労したものの、結果的に快勝。残りゲームはまたひとつ減り、タイトルへさらに一歩前進した。あと2試合、180分の頑張りだ。積み上げた勝点も、歴史的93ポイントとなった。今宵ソン・モイシュにて、マドリーがつまづいてくれれば尚のこと良し。やったれ、マジョルカ!
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