本気のメンバーで挑めば、今年もバルサは強い。そう証明した4-0だった。
スーペル杯第1戦、サンチェス・ピスファンの試合では諸事情によって先発にカンテラーノを4名含めなければならないバルサだったが、この日は主力選手たちの復帰により、先発はおろかベンチにすらBチーム選手の姿はなかった。ベンチスタートとなったのも、プジョル、イブラヒモビッチ、イニエスタ、アドリアーノ、そしてビジャという豪華な顔ぶれだ。
ゲームはキックオフ直後から、カンプノウでのセビージャ戦ではすっかり恒例となった光景が繰り返された。バルサがボールを支配し、セビージャがそれを追う展開だ。先制点も割りと呆気なく決まり、13分、ペドロが個人技ドリブルで右からエリア内に切れ込み、そのクロスボール(シュート?)がクリアしようとしたコンコに当たってオウンゴール。この夜はどうやら、勝利の女神はバルサを祝福しているようだった。
先制点を手に入れ、自信を深めたバルサは、その後の支配をさらに強固なものとしていく。プレーの多くはセビージャ陣内で繰り広げられた。一見して、追加点は時間の問題。その主はボージャンになるかとも思われたのだが(21分、23分に好機演出)、そこで一発やってしまうのがクラック、レオ・メッシである。24分、チャビからの絶妙なスルーパスに反応した10番は、前に出るパロップの動きを冷静に観察し、ここぞのタイミングでシュートを流し込んで見せるのだった。
これで合計スコア3-3となり、フエラで1点を奪っているバルサが逆転タイトルの条件を満たした。だがペップチームはここでアクセルを緩めることはなかった。セビージャを窒息させるため、さらに圧力を加えるバルサ。そして失神寸前となった彼らに、とどめといえるゴールをぶち込んだのがメッシだった。アルベスが右サイドを突破し、彼からのパスを受けたレオが至近距離から右足でダイレクトにズバッ!カンプノウもこの宇宙人には驚嘆するしかなかった。
後半に入ると、セビージャからは前半に比べればゴールへと向かう意思が感じられた。しかしこのゲームはどこまでもメッシが主役の座を持っていく。メディアプンタ、あるいは偽のプンタとして縦横無尽に動き回り、それは一週間前の彼とはまるで別人のようなパフォーマンスだった。
そして56分、グアルディオラはボージャンとペドロに代え、イニエスタとビジャをピッチに送り込む。ビジャにとってはこれがバルサ戦士としてのデビュー戦。スタンドから受けた万雷の拍手を、彼は生涯忘れることはないだろう。プレーでもビジャはメッシへの惜しいスルーパス、そして自らのあわやというシュートによって、観客を沸かせている。
主力選手の大半が90分間のプレーを体験したことのないバルサなので、時計が経過するにつれ、さすがに疲労の色は見え隠れしていた。しかしイニエスタの存在によってパスワークは向上し、一気に三選手を交代し、フレッシュとなったであろうセビージャにボールを譲り渡すことはなかった。わずかに1点を決めれば延長戦に持ち込めるセビージャではあったのだが、3日後にチャンピオンズ本大会出場を賭けた決戦が控えている彼らにしてみれば、それは望むところではなかったのかもしれない。
大方の予想通り、次の得点もまたバルサが奪い取った。試合終了直前、ビジャのスルーパスにイニエスタが抜け出し、メッシへとお膳立ての整ったマイナス方向へのパスが供給される。あとはもう、レオはこれを普段どおりに押し込むだけでよかった。
こうしてバルサは困難かと思われた1-3のスコアを克服し、見事4-0での逆転勝利。今シーズン最初のタイトルを手にするとともに、バルサ強しとの印象を与えることに成功した。浮かれるには早すぎるとはいえ、今年もまたそのプレーと成績には期待しても良さそうだ。
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