2010/11シーズンのバルサも、これまでととくに変化なく強い!これがリーガ開幕戦を見たものに与えた印象だった。24時間前のイブラヒモビッチ騒動によるモヤモヤも、だいぶ吹き飛んだ勝利だった。
実際、イブラの“後継者”としてバルサでのリーガデビューを果たしたダビド・ビジャは、“9番”のことなどすっかり忘れさせてくれた。このチームではまだ3試合目の出場にもかかわらず、ずっと前からいたんじゃないかと思わせるようなスムーズなプレーを披露し、バルサ選手としての公式戦初ゴールもゲット。この先を実に楽しみにさせてくれる。
ウォームアップ中にプジョルがふくらはぎに違和感があったことで、急きょピケが代打先発出場。パートナーはアビダルで、どうもペップは本気でアビダルをバルサ流セントラルに育て上げるつもりのようだ。実戦での稽古はこれからも続くだろう。
ゲームの均衡はいきなり、クラックのご挨拶によって破られた。3分、チャビがボールを奪い、イニエスタがつなぎ役となって、守備陣の注意を引き付けつつも斜め前のメッシへとパスを送る。あとはレオがいつものドリブルでエリア内に突っ込み、GKトーニョが出てくるのを見計らって、ふわりと技ありのバセリーナを決めるだけだった。しかも右足。この人、どこまですごいのでしょうか。
だがさらに強烈なインパクトを残したのが、32分のイニエスタだった。メッシのパスを受けたビジャが左サイドをえぐり、センタリングを上げる。これはトーニョがパンチングでクリアするのだが、不幸なことに、その落下点にはドン・アンドレスがいた。ボールが落ちてくるタイミングを見計らい、そのままダイレクトにバセリーナを放って見せた変態技巧クラック。エル・サルディネーロの観客が驚きに目を見開く前で、ボールは美しい放物線を描きゴールへと吸い込まれていった。
試合は0-2となり、勝負の行く末はこれにてほぼ決まったと思えた。しかしその2分後、ゲームは重要局面を迎えることになる。マクスウェルがエリア内でフランシスを倒したとして、厳しすぎるペナルティの笛が鳴らされたのだ。ここで1点入れば、ゲームの流れは混沌とするであろう状況。そこでバルサを救ったのがバルデスだ。チテの放ったペナルティシュートは我らが守護神の聖なる右手によって、弾き出された。パラドン後のどないや、みたか!の咆哮に熱くなったクレ多数。
前半終了間際、美しく決まったはずのゴールがオフサイドで取り消されたビジャではあったが、そんなことでへそを曲げる彼ではなかった。62分、右サイドを駆け上がったアルベスの正確無比なるクロスを逆ポスト前で待ち受け、これでどうだとばかりのヘディングシュート。応援に訪れた家族の前で、グアッヘは記念すべきゴールを決めた。
この試合、ラシン・サンタンデールは非常にモチベーションを高く持ち、序盤からバルサに真っ向勝負を挑んできた。前日の会見でバルサのプレーを分断すると予告していたポルトゥガル監督だったが、悪質なプレーにもロングボールにも頼ることなく、彼らはバルサに勇気を持って挑戦してきたのだ。結果、メッシやイニエスタの必殺パワーによって屈することになるのだが、そんなラシンの姿勢は心地よいものだった。他のチームも彼らのように、打ってきてくれれば嬉しいのだが。
3点差をつけられたことにより、さすがにラシンは意気消沈したようだった。彼らの序盤の勢いは後半に入ると姿を消し、アキレス腱の痛みでハーフタイム中にチャビを交代させたバルサではあったが、特にこれといった影響は生じることなくそのままラシンを完封。きっちりと、大事なリーガ初戦を白星で飾った。
代表戦ウィークによってリーガはいきなり中断期間に入るが、次の試合はカンプノウでのエルクレス戦だ。この試合には間に合わなかったマスチェラーノも登場するであろうし、大いに盛り上がる試合となることを期待する。ひょっとしたら、最後の土壇場補強選手、なんてのもいるかもしれない。
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