9月11日はカタルーニャにとって大事な祝日、カタルーニャ国家の日(通称ラ・ディアダ)だ。街は控えめながらも祝祭ムードに包まれ、自ずとカンプノウもフィエスタの空気をまとう。それが地元でのリーガ初戦となれば、尚更だ。
グアルディオラはこのメデタキ試合に、夏の新加入選手3人を揃い踏みさせる。アドリアーノ、ビジャ、そしてマスチェラーノがついにバルサデビュー。その背景には、直前の代表戦によるコンディション不良があった。もちろん、火曜日のパナシナイコス戦も見据えてのことだろう。
ゲームはいつものように、バルサの圧倒的ボール支配で始まっている。最初のチャンスは9分。マクスウェルからのセンタリングに、ボージャンがあと一歩合わせ損ねている。その後もバルサの攻勢は続き、13分にはメッシの得意のシュートがサイドネットを揺らす場面もあった。
エルクレスはバルサのこの序盤の攻撃をしのぎ、徐々にではあるがペースを掴んでいく。試合前にエステバン・ビーゴ監督が語っていたように、彼らは引き分けを狙いにきたわけではなかった。猛然とプレスをかけ、背後のスペースを狙うチームビーゴ。そして26分、スコアが動いた。決めたのはエルクレスだった。
きっかけはマスチェラーノがドレンテを倒して与えたフリーキックだ。ゴールからの距離はあったが、蹴り込まれたボールはパスの頭によってコースが変えられ、バルデスの目前へ。アビダルとバルデスが一瞬混乱した隙を見逃さず、アエド・バルデスがこれを押し込んだのだった。バルサのシュートは打てど入らず、エルクレスは最初のシュートで1点を奪い取った。それもまたフットボルの不条理さだ。
精細もゴールもなし
思いもよらないリードを奪われ、チームペップは同点を急いだ。だが状態が良くないときに、焦ったところで上手くいくはずもない。34分のピケのヘディング弾が決まっていれば流れも大きく変化しただろうが、強烈なシュートもあえなくポスト右を通過。目標としたハーフタイムまでの同点ゴールを、バルサは手にすることが出来なかった。
ゴールを決められなかったのは、ビジャやメッシ、ボージャンがいまひとつだったからだけではない。この日は中盤の出来も悪く、ボールの速く正確な展開は鳴りを潜めていた。よってグアルディオラはゲームの指揮者として、ハーフタイム明けからチャビを投入する。カードをもらったことで動きに冴えがなくなっていたマスチェラーノがベンチへ。同時に、ボージャンに代わってペドロがピッチに登場した。
しかしペップの狙いが的中することはなかった。47分にはペドロとチャビによってチャンスが作り出されたが、後が続かない。バロン・デ・オロの有力候補のチャビとて、万能ではないのだ。
逆に波に乗ったのはエルクレスだった。58分、カウンターアタックからまたもバルデスがゴールをゲット。右からのクロスにダイレクトに右足を合わせるという、鮮やかな技ありシュートだった。
カンプノウで昇格チームに2点のリードを奪われ、王者は多大なショックを受けた。ペップが監督就任以降、バルサは完封負けを経験していない。だが必死の反撃も虚しく空回りといった様子であり、統制の取れた2本のラインを敷き、ゴール前を固めるエルクレスの守備を脅かすには至らない。そしてエルクレスは前がかりとなったバルサの背後のスペースを狙い、効果的にカウンターを仕掛けていった。88分、キコとトレセゲの2本のシュートを(我らの)バルデスが弾いていなければ、結果はさらに散々なものとなっていた。
ゲームはそのまま0-2で終了。カンプノウでの黒星は2009年5月23日、リーガ優勝決定後の消化試合となったオサスナ戦以来となる。
この手痛い敗戦を、今後への警告と出来るかどうかがペップチームの今後を左右する。3日後、同じくカンプノウで開幕するチャンピオンズのパナシナイコス戦でどのようなリアクションを示せるかが重要となってくる。そして次の週末には、ビセンテ・カルデロンのアトレティコ戦が待っている。
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