チャンピオンズ開幕とともに、グレートなバルサも帰ってきた。立ちふさがるものはすべてなぎ倒すがごとき、破壊力満点のバルサ甦る。週末のエルクレス戦はなんだったんだろう?と思わせる快勝。ちょっとでも不安になったのがアホらしくすら思えてくる。
世界チャンピオン8人を起用し、最強メンバーを組んだバルサは序盤からパナシナイコスを圧倒した。エルクレス戦の黒星をくよくよと悩む様子は微塵もなく、青エンジの波は次から次へとギリシャ王者陣内へと打ち寄せた。心地よさげにピッチを回るボールを、パナシナイコスはただ眺めることしか出来ない。よくぞ序盤のバルサの攻勢を彼らは耐えしのいだものだ。
だがフットボルの女神は多少ひねくれたところもある。先制は20分、パナシナイコスだった。ポルテーロからのゴールキックをシセがお見事極まるヒールパスで落とし、ラインを突破したゴブーがズバッと突き刺して0-1。この時ばかりは正直、ちょっぴりエルクレス戦の悪夢がちらほらと脳裏をちらついた。
週末と大きく異なったのは、この日のバルサがリアクションにわずか1分しか要しなかった点だ。チャビのピッチ中央付近からの長い浮き球スルーパスにメッシが抜け出し、立ちはだかるポルテーロもものともせずに軽いタッチのシュートで押し込んだのだ。なんだろう、このひらりとかわす感じは。
さらにその10分後、今度はチャビの右コーナーキックをブスケツが頭で逸らし、逆サイドのビジャが待ってましたと無人のゴールに追加点。これでこの試合の進路は決まった。
逆転に成功し、物事が本来の姿に戻ったとなれば、あとはお楽しみタイムとなる。そして変態的プレーで世界中の度肝を抜いたのが、やはりこの人メッシだった。エリア正面でアルベスからボールを受けると、チャビと壁パス、次はペドロと壁パスと、パナシナイコス守備陣の密集地帯を中央突破。最後はツォルバスの砦もぶち破り、またひとつレオは語り継がれるゴールを生み出した。
後半開始間もない53分、メッシはペナルティキックに失敗するのだが、この試合ではそれは特別重要でもなんでもない。ハーフタイム後も、ゲームはバルサが完全に支配した。90分を通じてパナシナイコスが放ったシュートは、先制点となった最初の1本のみ。元々彼らに攻め気がなかったにせよ、それでもたまに訪れた守備機会で集中を失うことなく、危なげなくボールを奪取したバルサの守りは素晴らしいものだった。
前半で3-1にしたことで、後半のバルサのプレーは若干ペースダウンしていた。だがそれでも追加点を決めてしまうのがペップチームのエグいところだ。77分、途中出場のボージャンからのスルーパスを受け、メッシがエリア内に切れ込む。そして角度のないところから放たれたシュートはまず右ポスト、続いて左ポストにバウンドし、最後は正面のペドロがごちそうさまでしたでゴール。ペドロはこの試合も、右へ左へと非常に精力的だった。頑張れば、いいご褒美はやってくる。
それだけではない。このプレーで試合も終了しようかというロスタイムの93分、メッシから浮き球パスを受けエリア中央を突破したダニ・アルベスが、ビューティフルな頭でのバセリーナを決めてしまって5-1。このプレーは、ワンツーの形をとっている。いわば勝敗には無関係のゴール。しかしここで5点目を奪いにいくのがバルサなのだ。
さあ、エルクレス戦が落とした黒い影はさっさと払拭できた。次はバルサが大の苦手としている、ビセンテ・カルデロンでのアトレチコ戦だ。好調コルチョネロとはいえども、この出来ならばさくっと勝てそうな雰囲気。ファンとは現金なものである。バモス!
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