これから何度も目にすることになりそうな、そんなタイプの試合。余程勇気のあるチーム以外は、エルクレスやスポルティングのような作戦を実行してくることだろう。ペップバルサに課せられ続ける宿題だ。0-0、0-1を最初から狙うチームの攻略法、いまだ未発見。
ひとことでいえば、退屈なゲームだった。序盤からバルサはいつものプレーをやろうとスポルティング陣内に押し寄せている。メッシ不在のため、前線の中心に陣取ったのはビジャだ。任せておけと、精力的に動く7番だったのだが、残念ながら現時点ではボージャン、イニエスタとの連携が確立されておらず、どうも不自由そうでもあった。運にももうひとつ恵まれておらず、前半は手にしたチャンスをグアッヘは活かすことができなかった。
序盤の圧倒的ボール支配がゴールに結びつかないのは、もう毎度のことだ。週末のバレンシア戦に本腰で臨むことを宣言し、主力をごっそり休ませたスポルティングは、とにかくよく守ってきた。集中力を研ぎ澄ませ、スペースをひとつ残らず消す。格下相手による無意識のアドレナリン低下もあるだろう。バルサのプレーには、守る相手を慌てさせるようなアイディアもスピードも多量に不足していた。
前半で一番可能性を感じたのは、9分のムンディアルを思い出させるイニエスタのシュートだったか。しかしこれもGKクエジャルの好守に阻まれ、ネットには届かなかった。
プラン変更→ゴール
これはダメだと見切ったグアルディオラの行動は早かった。ゲーム開始早々の接触プレーでふくらはぎにダメージを受けたプジョル、そしてケイタを下げてピケとペドロを投入。イニエスタがいつものインテリオールに戻り、ボージャンとペドロがプレー幅を広げたことでチームのパフォーマンスは見るからに改善された。
すると、前半の苦労がウソのようにゴールは訪れた。49分、アルベスのパスに合わせてオフサイドトラップを突破したビジャによる、思い切りのいいシュートがスポルティングゴールに突き刺さったのである。チームが何よりも求めているものを、もたらしてくれるのがエースである。ビジャさん、よく決めてくれました。
ただ、1-0としたことで後は余裕かな、と思ったのは間違いであった。2点目が獲れると展開はずっと楽になるのだが、その瞬間がいつまで経ってもやってこない。68分、ミリートのエリア内での絶妙ブロックが成功していなければ、結果が寂しいものになっていた可能性は十分にあった。この試合中、スポルティングが手にした唯一のチャンスがこれ。彼らが攻めっ気のないチームだったのは助かった。
メッシがいたらどうだったかは分かりはしないが、今季のチームはどうも迫力不足が否めない。カンテラ中心チームはいいのだが、小粒なのだ。外部の異質な血もほしいな、という思いが徐々に募っていく。こういう試合でドカンと流れを変える選手がベンチにいないんだもの。
今回の収穫は、いまいちの出来であろうときっちり3ポイントを確保した点だ。疲れや意識せぬ中だるみもあろう。警告感をビシビシ発してくれるサン・マメスでは自ずとギアアップすると期待しよう。あとは日々の練習で連携を磨き上げ、引き出しを増やしていくしかない。
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