今後に向け、じわじわと不気味な不安が支配するようなエンパテ。運気も低く、カンプノウが無敵要塞ではなくなっている現実にがっくり。
ゲームは序盤より、圧倒的にバルサペースで進んでいる。いつも同じことを書いている気がするが、要するによく見慣れた光景が今回もまたカンプノウにて展開されたということだ。ほんの少しは前に出たかな、とも思えなくもない、しかし守備的なマジョルカに対し、バルサはまるで嵐のように陣内に攻め入った。吹き荒れるバルサタイフーン。しかしこの嵐の不完全なところは、どうにか堪えていれば、さして傷痕を残さずに過ぎ去っていく点にある。今回もまた、バルサはマジョルカにシュートの雨を降らせた。しかしその雨が上がった後、マジョルカの負った傷がメッシの1ゴールだけだったことが、寂しい結末を呼ぶ要因となる。
先制点を奪うまでは良かった。20分、アルベスからのボールをエリア際にいたペドロが巧みにヒールで落とし、メッシはまるでゴール左端にパスを送るようにそのシュートを突き刺した。さすがはメッシ。ここまではバルサにとって、プラン通りといったところだったのだ。パルコで試合を見守るチャビとビジャの表情にも、余裕が感じられた。
しかしながらメッシが2度目のチャンスを外し、アビダルの不意を突いた抜け出しも失敗に終わったりしているうちに、時間はじわじわと経過していった。そして追加点のないままに前半も終わろうかとしていた42分、カウンターアタックによって手にしたコーナーキックを、ヌスエが頭でずばっと合わせて同点!セットプレーからいとも簡単にゴールを許すのは、バルサの悪い習性だ。
攻めていたのに追加点を奪えず、逆に嫌な時間帯に同点に追いつかれたことは、バルサに少なからず影響を及ぼしたようだった。後半に入り、相変わらずボール支配率こそバルサに傾いていたものの、効果的な攻めは見られない。一方でマジョルカは同点ゴールによって活路を見出し、自信を掴み始めたようだった。後半開始とともにピッチに登場したウェボも、なにげに存在感を出していた。
時計が進むに連れ、バルサの神経質度は増していった。危うかったのは中盤でピケが不用意にボールを失い、前に出ていたバルデスの位置を見計らったウェボが無人のゴールにボールを蹴りこんだ場面だ。あわや惨事になりかけたこのピンチは、バルデスの横っ飛びによってかろうじて防がれている。
バルサはどうにかマジョルカの守りをこじ開けようと、懸命に努力をしている。だが単調な攻めでは、気合で守る相手を崩すことなどそうは出来ない。こういうときにこそ一花咲かせてほしかったボージャンだが、意識するあまり本来の姿を失っているのだろうか、"9番"がこの試合で輝きを放つことはなかった。
そして泣きっ面に蜂。75分、ペドロが太ももの裏を押さえてピッチに倒れこみ、負傷交代の憂き目に遭うのである。ここでペドロに代わって投入されたノリート(祝トップデビュー)は、それなりに好い動きでアピールをするのだが、違いを見せるには至らず。同じく後半から登場したチアゴ・アルカンタラに救世主になってくれと願うのも酷な話であり、アクセントとして今後に期待を感じさせたマスチェラーノのミドルシュートも、今回は予告編にとどまった。
そうしてボール支配も虚しく、もがくバルサを前に試合終了のホイッスルが響く。どれだけボールを持とうとも、シュートが入らなければ意味はない。今はひたすらに運が悪い時期だという考えも出来るだろう。しかしチームの総合力を考えると、今後に不安を抱かずにはいられない試合だった。どうしてもゴールがほしい瞬間に、ノリート、チアゴ、ジェフレンに頼らざるを得ないってのはさすがに厳しい。くら〜〜〜い気持ちで、FIFAウィーク突入。中断明けのバレンシア戦は、正直怖い。
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