すべてを忘れて高笑いが出来るには程遠い勝利ではあったが、ホッと一安心させてはくれる勝利とはいえる。バルサスタイルを貫いての逆転勝ちってのがポジティブだ。FIFAウイルスにやっつけられなかったってのも好い。
ジョゼップ・グアルディオラはこの試合、怪我によって出場が微妙視されていた選手たち(チャビ、ビジャ、ペドロ)すべてを戦力とすることが出来た。うち最初の2名は先発リストに名を連ねている。
試合はバレンシアのペースで始まっている。バルサのお株を奪うかのように、ボールをキープするバレンシア。カンプノウでバルサがボール支配率で劣ることなど、そう目にできることではない。しかしバルサとて相手にやり込められていたわけではなく、ボールは中盤を落ち着きなくあっちへ行ったり、こっちへ行ったり。バレンシア選手の前線からの激しいチェックにより、バルサは後方からゲームを組み立てることができなかった。
だが20分を過ぎる頃から、バルサは次第にペースを掴んでいく。21分の迷いの見せたビジャのシュートに始まり、24分のチャビの強烈なミドルシュート、36分のビジャのちょっと惜しいシュートなどだ。
しかし一瞬の隙でやられてしまうのがフットボルというスポーツであり、37分、バレンシアは左サイドをマシューが切り裂いたかと思うと、中央でノーマークだったパブロ・エルナンデスがズバッとシュートを突き刺してしまうのである。最初のチャンスで1点を献上するところが、いかにもバルサらしい。パブロは41分にも、超フリーでシュート機会を得ており、バルデスのパラドンがなかったら、と想像すると恐ろしい。
44分にはカウンターアタックからメッシがあと一歩でゴールというところにまで迫ったのだが、デフェンサの頑張りに阻まれて0-1のまま試合は前半を終えている。
ロッカールームでどんな闘魂を注入されたのだろうか。バルサは後半開始直後から、まるで別チームのようにバレンシア陣内に攻め入っている。同点ゴールはいきなりの46分。左方面からイニエスタがドリブルで持ち込み、チャビとの壁パス交換でラインを抜け出しエリア内に侵入。GKセサールの動きを極めて冷静に見極め、ゴール右隅にボールを流し込んだのである。
イニエスタの恐るべきゴールによってバルサは息を吹き返し、ここからは一方的なバルサ支配の構図が出来上がっていくことになる。ビジャはこの試合でもゴール日照りを抜け出せずにいるのだが、その代わりにネットを揺らしてくれたのが炎のカピタン・プジョルによる電撃ヘッドだった。
64分、ショートコーナーに端を発する一連のプレー。右サイドのチャビから絶妙なるクロスが供給され、中央のプジョルが待ってましたとばかりに必殺ヘディングをぶちかましたのである。いつもながら、プジのカベッサは実に爽快!ストレスも吹き飛ぶ気持ちよさだ。
しかしこの次の3点目を決めて勝負を終わらせられないのも最近のバルサの良くない点で、70分にはライン裏へ抜け出したビジャがセサールと1対1の場面を手にするのだが、セサールを抜こうとしてボールを奪われるなど、決定機を活かせず。この日のビジャは去年のズラタンのごとくオフサイドに引っかかりまくっており、適応にもう少し時間がかかりそうだとの印象を残した。
今日はビジャはダメだ、と考えたのか、ペップは81分にビジャに代えてペドロを投入。その4分前には怪我明けでお疲れのチャビに代わってマスチェラーノが送り込まれている。マスチェは終盤の守備局面において複数回の好プレーを披露。順調に適応していってほしい。
ゲームはバレンシアにチャンスを作り出させることなく、そのままバルサが2-1で押し切っている。これにてバルサはポイントでバレンシアと並び、とりあえず首位を行くことになったマドリーからも1ポイント差。難しい試合に勝ったことを自信とし、軌道に乗ってくれることを切に願う。水曜のコペンハーゲン戦にて、復調の度合いを確認しよう。
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