サラゴサの守備戦術に対し、ペップが用意したのはビックリの3-4-3だった。ドリームチーム時代に、恩師クライフが用いたシステムだ。
ゲームは5バックでエリア前に守備列を作るサラゴサに対し、バルサが圧倒的なボール支配を見せている。一時は8割も超えるという、まさに一方的な支配である。怪我でチャビを欠き、なおかつサラゴサが自陣をがっちり固めていたことでチャンスを作りまくれたわけではないが、少なくともバルサ守備陣がピンチにハラハラとさせられることはなかった。
サラゴサが希望を託したカウンター攻撃はアップ中にシナマ・ポンゴレが負傷したことによって破壊力が一気に減少。18分に唯一ブラウリオがバルデスと1対1の場面を作り出したものの、彼のシュートに勢いはなく守護神は危なげなくこれをキャッチしている。
バルサはこの日は下がり目のポジションを取っており、しばしばマラドーナ・アルゼンチンでのような状態になっていた(低い位置から突っかけて取られ、終わり)。しかしさすがはクラックであり、ハーフタイム間近の41分、ドリブル突破を仕掛けるビジャにマークが集中していると見るや、すっと中央へ走りこみ、ビジャからのどんぴしゃのパスを受け取ると、きわめて冷静にGKドブラスも処理して先制点を決めてしまうのであった。ビジャのパスも、メッシのシュートもお見事なり。
バルサはその他、36分、エリア内にてメッシからのパスをフリーで受けたアルベスがバセリーナを繰り出しているのだが、このボールは大きく枠の外。正直、この時点ではイヤな雰囲気が漂っていた。ボールは支配するのに、ゴールが決まらないパターンに陥りかけていたのだ。ゆえにメッシのゴールの意味は大きい。
ゲームは後半開始直後に大きく動く。47分、アウベスの左耳あたりに後ろからパンチをしたとして、ポンツィオが一発退場になるのだ。ダニは大げさにピッチに転がり、後にラ・ロマレダのスタンドから執拗なる口笛攻撃を受けることになる。
しかしポンツィオが愚かな行為を行ったのは紛れもない事実であり、それによって彼のチームは大きな損害を被ることになった。サラゴサがバルサへと反撃するオプションは、これにて限りなく少なくなった。
相手が10人になり、前半に圧倒的だったバルサがさらに圧倒的になるかといえば、そうではないのがフットボルだ。サラゴサの脅威がなくなったことでバルサも自然とギアダウン。ゲームはぼちぼちといった展開になっていく。それでもまあ、今回はゲームを終わらせるゴールを奪えたので良しとしよう。
60分、ビジャのスルーパスを受けたメッシのシュートはドブラスに阻まれたものの、その5分後には追加点をゲットに成功する。ペドロの左からのセンタリングにまずはニアのケイタが合わせるもこれはドブラスが弾き、こぼれ球を打ったイニエスタのシュートもデフェンサに拒絶される。だがこぼれ球第2弾を拾ったメッシの左足はズバッとサラゴサゴールに突き刺さるんだから、この人にはゴールの神がついているのだろう。
ゴール運のあるメッシに対し、恐ろしいくらいに無いのがビジャだ。86分、グアッヘはこの試合でまたもポスト直撃シュートを放っており、呪い説が真実味を増してくる^^;
2点のリードを手にしたことで70分過ぎに、ペップはイニエスタとペドロをお役御免とする。ドンは今回も観客席から盛大な拍手を受けての交代。ムンディアルの英雄への賞賛は続く。そしてゲームはサラゴサが最後の最後で意地を見せたものの、ゴールが生まれることはなく0-2で終了。クラブ史上初となる、リーガ開幕からのフエラ4戦連続勝利を達成した。
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