さすがに上位対決、と思わせる好ゲームだった。唯一残念だったのが、デルガド・フェレイロ審判のジャッジだ。
ビジャレアルはバルサがこの11年で4度しか勝利しておらず、ここ3年で2ポイントしか獲得できていない"天敵"である。チームが好調でも、何故だか攻略できなかった相手。しかしその歓迎せざる流れも、今回で終了となった。
ゲームは序盤より、非常に激しいリズムで進んでいる。バルサが強烈なプレスを仕掛けるのは、ここ最近では普通のことだが、ビジャレアルもまた負けじとボールを展開。ニウマールとロッシの強力2トップが、スピードある突破によってバルサ守備陣を脅かした。さすがは3位にいるチームである。両チーム共に、攻守の切り替えが非常に速く、ボールはめまぐるしくピッチを駆けた。
序盤に主導権を握り、最初の決定機を作ったのはバルサだ。13分、アウベスのクロスに逆サイドのメッシがフリーで頭で合わせるも、ディエゴ・ロペスのパラドンに阻まれゴールとはならず。バルサはこれでもかとパスをつないだのだが、最後でビジャレアルを崩しきることが出来ず、少々手を焼いていたといえる。
先制点は21分だった。ビジャがグラウンド中央でボールをカットし、チャビ、イニエスタとボールが渡る。そしてドンからのスルーパスにビジャが抜け出し、スピードに乗ったまま完璧なコースへとボールを流し込んだのである。チームへの順応を非常に感じさせるプレー、シュートだった。
だがこの後、主審が主役に躍り出てしまうから残念だ。問題の場面は25分。明らかにデフェンサの後ろから飛び出してボールを受けたメッシがオフサイドの判定を受け、その後のペドロのゴールが無効に。そんなアホな!と思っていると、その隙を突いてビジャレアルが急襲をかけ、ニルマールが個人技からネットを揺らしてしまうのだ。たしかに見事なゴールだったが、その経緯がよくない。2-0だったはずが、判定ミスで1-1。怒ったスタンドのファンは、フェレイロ主審に向け容赦ないブーイングを浴びせた。
ここからしばらくは、勢いに乗ったビジャレアルの時間帯となる。動揺したバルサは後手に回り、幾つかの決定機を許した。イエローサブマリンの仕掛けるカウンターは、それはそれは脅威的だった。
1-1で迎えたハーフタイム後、バルサは再び落ち着きと集中を取り戻し、ゲームを支配していく。輝きを放ったのは、やはりこの人レオ・メッシ。我らがクラックは、もはや変態的という言葉では物足りないくらいだ。
追加点は58分。ビジャレアルの体勢が整う前にチャビが素早くリスタートを行い、ボールを受けたメッシがエリア内にてペドロと壁パス連発。そして最後はディエゴ・ロペスをあざ笑うかのようなバセリーナ(右足)だから、もはやどうしようもないといえる。
63分にはエリア際でボルハ・バレロを倒すなど、若干のヒヤッとする場面はあったが、後半は全体としてバルサのペース。ビジャレアルにこれといったシュートを許すことなく、最後まで締めている。プジョルとコンビを組んだアビダルのセントラルも、なかなかのものだった。
ただ、万が一のアクシデントを防ぐためにも、もう1点欲しいというのは確かだった。そしてその仕事をやってのけるのが、10番というわけだ。83分、中央から崩すかと見せかけたチャビが右方向へとボールを回し、ペドロがエリア内にて突破を仕掛ける。彼のシュート(クロス?)はカプデビラの足に当たり跳ねるのだが、ディエゴ・ロペスがキャッチするよりも抜け目なく詰めたメッシのタッチが一歩速し。ボールは左ポスト横へと転がり込んでいった。レオはこのゴールを、水曜に負傷したミリートへと捧げている。
ということで、強敵ビジャレアルをしっかりと攻略しての3ポイント獲得。暫定首位に立った。あとはエル・モリノンにてスポルティングが白組を成敗してくれれば、この"暫定"の文字は取れる。
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