バルサにとっては完全なる消化試合ではあったが、出番をもらったカンテラーノたちがモチベーションでそれをカバーした。こういうトコでもペップ効果はすごい。
この試合はいわばペップにとっては、カンテラーノたちを試す絶好の機会だ。過密スケジュールの主力たちには休みをやって、思い切った先発メンバーでルビン戦に臨んだミスター。レギュラークラスはピケとブスケツだけなうえに、ブスケツはなんと3バックの中央というサプライズである。
プライドとUEFAからの勝利ボーナス80万ユーロを懸けて試合を開始したバルサだったが、さすがにテスト色の強いこの面子ではいつもの流動性は期待できず、正直前半は退屈な内容となった。これはグループ勝ち抜けには勝利が必要なはずのルビンが、いつものように専守防衛に努めてきたことも大きい。片方がフットボルを放棄してしまうと、スペクタクルは生まれ難い。前半のゴールチャンスは両チームそれぞれに1回ずつ、といった低調な展開だった。
そんななか、バルサにとって不幸だったのはジェフレンとボージャンの負傷交代である。ジェフレンは左内転筋の負傷でリタイアし、ボージャンはボチェッティとぶつかった際に顔面を強打し、口からは出血も。幸いボージャンは大したダメージではなかったようだが、ジェフレンというお人、どこまでも運がない。クラシコのゴールで幸運を使ってしまったのか。またもや医療部のもとへ逆戻り。
寒空にもかかわらず、消化試合を観に訪れた5万人強のファンが報われたのは、後半になってからカンテラーノたちによる2ゴールが決まったことだ。まずは50分、エリア右から切れ込んだチアゴのパスを、同じくエリア密集地帯で待っていたフォンタスが左足でねじ込んで1-0。シュートはデフェンサの手に当たりはしたのだが、ボールはそのまま好いコースでゴール左隅に転がり込んでいった。
そしてピッチサイドでメッシがアップを始めると、さらに盛り上がる場内。スタンド各所ではメッシコールが沸き起こり、63分、彼が登場するとスタジアムは歓声に包まれている。メッシはいつものように、この試合でも手を抜かずにプレー。どんなゲームでもファイナルのごとくプレーするのが彼の偉大さである。
バルサ通、というかビクトル・バスケスをいくらか気にかけてきたファンにとって嬉しかったのは、ボージャンに代わってピッチに立った彼が、82分に追加点を決めたことだ。中盤でアドリアーノがボールをカットし、ショートカウンター開始。そしてボールを受けたバスケスがエリア際正面から、思い切りのいいシュートをどかんとルビンゴールにぶち込んだのである。
こうしてバルサは苦手としていたルビン・カザンを攻略し、グアルディオラ時代では初となる、グループリーグ無敗突破を達成した。試合に応じたメンバーが監督の期待を裏切ることなくプレーし、最後は勝利を手にしてしまうバルサ。実に頼もしいチームだ。
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