コパの王たちによる、予想を裏切らない好ゲームだった。サン・マメスでのアスレチックとバルサの超真剣勝負は、常に白熱した展開となる。
内容は、バルサのベストゲームとはいえないものだった。しかしその熱さ、激しさにおいてこの試合はスペクタクルなものとなった。毎年のようにクリスマス休暇で一度フォームを落としているバルサだが、気合で乗り切ってしまうところがなんとも頼もしい。強いチームだ。
グアルディオラはこの試合にビジャ、ペドロ、メッシの強力トリデンテを起用する一方、中盤はイニエスタではなくケイタを配置し、パワー対策をしている。セントラルには最近絶好調のアビダルが起用された。
ゲームは序盤はバルサのペースで進んだものの、徐々にアスレチックが盛り返す展開となっている。7分、アルベスのクロスに合わせたビジャのヘッドが決まっていれば違っていただろうが、これはGKゴルカのパラドンによって阻まれてゴールならず。一方でビルバオは14分と23分にスサエタが惜しい場面を作り出している。ジョレンテとトケーロを前線に置くバスクチームの高さは脅威だったが、ピケとアビダルが実に上手く対応していた。
バルサは後半の立ち上がり、アスレチックの勢いにやや押し込まれるのだが、60分にイニエスタがピッチに現れることで流れを呼び戻している。プレーにダイナミズムが生まれ、ボールはより縦方向へと動くようになった。だが65分、アルベスのクロスをビジャが外すなど、この日はどうも彼の日にあらず。ペドロやメッシも頑張ってはいるものの、ビルバオの壁は厚く、それを打ち破るには最後のキレが欠けていた。
そこで登場となるのが、アビダルさんである。イニエスタが入って以降、彼のポジションは本来のラテラルに戻っていた。そして74分、その瞬間は訪れる。チャビがエリア内のメッシにボールを送り込み、パスを受けたメッシはちょっとコントロールを乱したように見えながらも、粘って左方面へとボールを落とす。するとそこへ走りこんできたアビダルさんが、ずばっと鋭いシュートをネットへと突き刺すのである。これが130試合目にして、彼のバルサ初得点だ。おめでとう!
試合はこれにて決着したかに思われた。少なくともクレはそう期待した。しかしサン・マメスはそう簡単にバルサを楽にしてくれない。84分、イラオラからのボールを受けたジョレンテがペナルティスポット前から、丁寧で正確なシュートをゴール右に流し込んで1-1。ゲームは一気にスリリングな状況となった。
ここからのロスタイムを含めたおよそ8分は、ドキドキである。直後の86分にはビジャが再びゴルカと1対1となるのだが、彼の日ではないグアッヘはこれを決められない。そしてロスタイム、グアルディオラは時間稼ぎとして、アフェライをピッチに送り込んだ。なにはともあれ、バルサデビューおめでとう。
幸運なことに、バルサはアスレチックにそれ以上の反撃を許さなかった。ゲームは1-1で終了し、アウェイゴールに助けられたバルサが1/4ファイナル進出決定。少なくともあと2週間の2試合、国王杯でプレーする権利を手にした。
それにしてもサン・マメスの観客。54分のアビダルの顔にものを投げつけた輩は感心しないにせよ、76分のチャビ交代の際、バルサでの歴代最多試合出場達成(550)を祝してオベーションするあたりはさすがだった。
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