今季唯一リーガで敗北していたエルクレスに、彼らの本拠地で雪辱。このチームは、同じ過ちは繰り返さない。
リーガでの連勝記録のかかったこの試合、言うまでもなくペップ・グアルディオラは起用しうる最強メンバーを起用してきた。アビダルのセントラルも、もはや全く心配無用のオプションだ。
この恐怖のバルサをどう封じ込めるか。今季リーガでバルサを無得点に抑えた唯一のチームでもあるエルクレスは、カンプノウでのその成功体験を再現すべく、同様のアプローチで守備を固めてきた。バルサ自慢の中盤に息つく暇を与えず、自由にプレーをさせないのが彼らの狙いだ。
このプランは少なくとも前半は機能する。上手く守るエルクレスに対し、バルサはいつものようにパスを回すことができず、特に相手ゴール前での崩しには苦労した。9分にビジャのパスを受けたメッシが、15分にはペドロが惜しいシュートでGKカラタユを脅かしはしたものの、決定的とはいえず。メッシは試合終盤まで、エルクレス守備陣に沈黙させられることになる。
一方でエルクレスも、スーパーアビダルによってネルソン・バルデスが封印されたことで、大きな脅威は作り出せていない。唯一クレをひやりとさせたのが、20分のトレセゲのプレーだ。アビダルとピケを引き付けたバルデスが頭でボールを横へ逸らし、トレセゲがバルデスとほぼ1対1に。しかし彼はボールに足を上手く合わすことができず、先制のチャンスを逃すのである。
時間の経過とともにバルサの支配は強化されていったが、ゴールだけはなかなか訪れなかった。エルクレスの守備は上手く、バルサにはそれを破るだけの正確なプレーが不足していた。しかし忍耐強く繰り返されるバルサの攻めの、そのすべてに完璧に対応することは難しい。ペップチームは前半終了前、ついにその待望のスペースを見つけ出すのだ。
43分、一連の攻撃によってエリア内右前方にスペースが開いた瞬間を、チャビは見逃さなかった。イニエスタが左からチャレンジした後のこぼれ球を、今度はダイレクトに右に送り込んだのだ。そこへペドロが走りこみ、ここしかないというニアポストにズバッと一刺し。お見事なパスとシュートによって、バルサがついにエルクレスの守りをこじ開けた。
ハーフタイム直前に均衡を崩されたことは、エルクレスには大きなダメージとなった。後半、彼らは同点を狙うために前に出てこざるを得なくなり、それによってライン間の距離は開いた。バルサが利用すべきスペースが、徐々に生まれていったのだ。しかしいつものゲームとは異なり、今回のバルサは試合に一気に止めを刺すことができない。ゲームはバルサがコントロールしてはいたものの、一発のカウンターによって事故は起きかねない、そういう展開がしばし続くのである。
しかしながら、念願のゲーム復帰によって気合が悪い方向へと出たファリノスが2枚のカードで退場(85分)となったことで、試合のバランスもバルサへと大きく傾いた。そしてここでお待たせしました、と登場してくるのが、それまでは沈黙していたクラック、レオ・メッシなのだ。
まずは87分、エリア正面でボールを受け取ると、左方向へとドリブルを仕掛けて、コースが見えた瞬間にゴール右隅へとぶちこむ、得意の形で一発。さらにその2分後、今度は右からアルベスが折り返してきたボールを、ノーマークで楽々押し込んでごっつぁんだ。この2つめは直前までは「相手の腕が腹に入ったヨ、イテテ・・・」とかがんでおきながら、チャンスと見るや一気にスペースへ走りこんでネットを揺らしている。なかなかにお茶目である。
というわけでスコアほどは楽勝ではなかったが、終わってみれば0-3でバルサが勝利。開幕からのフエラ戦連勝を10に伸ばし、リーガ15連勝も達成した。次のアトレティコ戦にも勝利すれば、半世紀前にマドリーが作ったリーガ歴代連勝記録は塗り替えられる。いったろうぜ、ペップバルサ!
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