いつかは訪れる連勝ストップが、ここできたか、という試合。展開としては、まあ仕方ない。
水曜日に控えるチャンピオンズ・アーセナル戦を見据え、グアルディオラはこのスポルティング戦に複数の選手を休ませている。プジョルを怪我で欠き、アビダル、ブスケツ、ペドロがベンチスタート。各ラインでひとりずつレギュラーを外したことは、少なからずチームに影響を与えたようだった。パスマシーンの調律は、やはり単純ではないのだ。
毎年フォームの少し落ちる2月、さらに勝率で5割を切る代表戦後というのも、影響はあったことだろう。選手たちの動きは、明らかに重たそうだった。
各箇所で少しずつ調子を外すバルサに対し、スポルティングはしっかりと研究と対策を練っていただけでなく、非常に気合に溢れていた。彼らの主戦術は、守りを固めてのカウンター一発。珍しいものではないのだが、とにかくその後先考えないが如きプレスは圧迫感十分で、チャビ、イニエスタ、メッシらにはまったく自由にボールを触ることが出来なかった。
そしてこの試合では、そのライバルの頑張りが報われることになる。前線でひとり残っていたバラルがお上手なドリブルによってピケ、さらにはミリートをかわし、きっちりとシュートをゴール右にねじ込んで1-0(16分)。アビダルが先発だったら・・・とは思うまい。
バルサ相手に結果を残そうと思うのなら、先制を奪うのが肝要だ。グアルディオラのチームにとって、リードを許したのは、リーガでは10月のバレンシア戦以来。あの時は逆転に成功したのだが、毎回思い通りにいかないのがスポーツというものだ。
プランどおりに先制に成功したスポルティングは、今度はバルサが必要とするスペースを完璧に潰してきた。エリア周辺に敷かれる、統率の取れた2本の守備ライン。前半に得点の匂いが感じられたのは34分のイニエスタの変態的突破からのシュートだけとなれば、その苦戦ぶりは窺え知れる。
後半に入り、グアルディオラはまずアフェライを下げ、ペドロをピッチに送り込んだ。リーガ初先発となったアフェライだが、それがこのエル・モリノンというのはお気の毒。この日の45分で、彼が持ち味を発揮することはなかった。
そしてペドロが流石なのは、彼の登場でチームに新鮮な風が流れ込んでしまう点である。後半、バルサは生まれ変わったかのようにスポルティングを攻め立てた。52分にはチャビが、54分にはメッシが決定的チャンスを演出。しかし厄介なことに、この試合ではGKクエジャルが当たっていた。これらのシュートはいずれも、相手守護神の好守によって阻まれている。
懸命に守るスポルティングを、バルサは崩しきれないままに時間が経過していった。後半は相手エリアをバルサが包囲し、一方的に攻める、そんな展開だ。キレているバルサならそんな包囲戦も首尾よくいったかもしれないのだが、いかんせん今回は全体的に出来がいまいち。そのまま守りきられ、負けるのではないか、そういう影もちらつき始めていた。
だがひとつのプレーが、バルサを最悪の状況から救い出す。79分、メッシからの縦パスを受けたビジャが前を向いて進撃を開始し、クエジャルが少し前へ出ているのを見抜いて、完璧なるバセリーナを繰り出すのである。ボールはふうわりとポルテーロの頭上を越え、ネットの中へ。静まるエル・モリノン。アストゥリアスの英雄は、古巣へのゴールを今回も祝福することはなかった。
バルサはその後も、逆転勝ちを収めるべく攻撃を続ける。86分にはメッシがエリア右をえぐり致命的なクロスを送り込んだが、ファーのペドロは惜しくもこれを枠内に飛ばせない。あと1点を目指し、バルサ選手たちはあらゆる努力を行っていた。しかしいつもいつも、物事が上手く運ぶわけではないのだ。
試合はそのまま1-1で終了。バルサのリーガ連勝記録はついに、16で終了となった。ただ連勝がいつか途切れるものであるなら、このエル・モリノンは悪いタイミングではない。アーセナル戦で仕切りなおし、また再スタートを切ればいいのだ。ペップバルサは毎年、バレンタインあたりで調子を落とす。負けずにエンパテで堪えたのはポジティブだ。今回はスポルティングの試合運びと幸運を称えつつ、次からまた張り切っていきまっしょい。
試合後のペップ曰く、「連勝は止まった時、その価値を増す」。たしかにそのとおり。
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