久々に見る、バルサのがっくりくる試合。2月の風は、ペップバルサには冷たい。
ゲームとしては、さすがにチャンピオンズというものだった。ヨーロッパのトップクラブであるガナーズは、ペップが指摘するように非常に手強いチームであり、ウォルコットのスピード、バン・ペルシーの決定力、そして闘志溢れるプレーなど、随所に強さを見せてくれた。いくらバルサといえども、イマイチ状態では簡単に勝てる相手ではない。実際、負けたし。
試合はまず、アーセナルがボールを回し始まっている。序盤をまず最初のポイントとした彼らは、激しいプレスと得意のスピードある攻めによってバルサを圧迫。6分にはウォルコットがドリブルで持ち込み、セスクが浮き球を裏のスペースへ供給、バン・ペルシーのボレーをバルデスがパラドンで防ぐ、という最初の決定機を作っている。
ただ前半のガナーズの脅威といえばこれくらいで、15分頃からはバルサが反撃。少しずつペースを掴むと、得意のパス回しでアーセナルを翻弄し、セントラルの間をビシビシと狙っていった。14分のメッシの飛び出しは珍しいことに、シュートがポストの右横を通過するのだが、26分、今度はレオのパスを受けたビジャが抜け出しに成功。ばっちりシュートを流し込み、先制点を奪い取った。
リードを奪えば、バルサのコントロールはさらに際立ったものになる。28分にペドロが決めていれば、優位はさらに確かなものとなっていたのだが、ここはGKシュチェスニーが止めてゴールとはならず。37分のメッシのゴールも、主審はオフサイドとみなし有効とはしなかった。クレからすれば、不満の残る判定だ。
ハーフタイムが明けると、アーセナルは再び攻勢に出た。前半と同様、バルサは時間の経過と共にこれをやり過ごし、再びボールをコントロールしていくのだが、チャンスを決めきれないのも前半と同じ。57分にはコシルニーがエリア内で単騎突破したペドロを押し倒したかに見えたが、イタリア人主審はこれもファールと考えない。この日の審判はアーセナルの激しい当たりに対し、実に寛容なところがあった。
週末のスポルティング戦もそうだったが、この試合でもバルサは縦への動きが不足していた。66分のメッシのシュートも、残念ながらサイドネット。メッシはやはり、イングランドで相性が悪いのか。
すっきりしない状況を打開すべく、グアルディオラが見出した解決策が、ビジャに替えてのケイタの投入だ。アフェライを見たかった局面だが、時としてペップの采配は謎が付きまとう。一方でベンゲルは同じタイミングで、ソングを下げてアルシャビンを投入。これが後の結果に大きな影響を及ぼすことになる。
攻撃で有効打を出せないバルサに対し、アーセナルはじわりじわりとリズムを取り戻していく。疲れたウォルコットに替え、ベントナーが登場した76分あたりからその流れは顕著に。そして83分、クリシーのパスを受けたバン・ペルシーがピケの背後を取り、角度のないところから狙いすましたシュートを一発。バルデスはニアへのシュートを、まったく予想していないようだった。彼らしからぬ判断だ。
同点としたことで、エミレーツは元気に復活した。事態を収拾しきれないバルサへと襲い掛かるガナーズの波。ペップチームにとって痛恨だったのは、83分に逆転弾を許してしまったことだ。前がかりになってぽっかりと空いたスペースをナスリに利用され、最後は左後方から詰めてきたアルシャビンが決めて2-1。何故この選手をあれだけフリーにしたのか。アルベスさん、ここはしっかりチェックしてもらわないと。
不満は色々とあるが、これも"魔の2月"の事故だとでも考えよう。カンプノウでの2-1からの逆転は十分すぎるほどに可能。3月になれば、コンディションも回復に向かうと期待したい。勝つしかないバルサが、ばっちり仕事をしてくれることだろう。カンプノウの魔法よ、よろしく。
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