予想どおりのタフな試合となったが、結果もまた期待していたとおりとなった。シーズンのデリケートな局面で、貴重な3ポイントを確保できたのは大きい。
リーガ16連勝という大記録の達成に沸いたのも過去の話。ヒホンで引き分け、ロンドンで敗れたことでカンプノウ周辺には、さざ波が発生の予兆があった。前日のマドリーの勝利もあり、このアスレチック戦の結果如何では、ややこしいことになりかねない。そんな日曜だったのだ。
おまけに当日となって、バルデスが左膝の違和感によって欠場との知らせ。なんとなくイヤなムードも漂っていた。
勝利しかあり得ないこの一戦にグアルディオラは、サプライズ起用を行っている。マスチェラーノをピボッテとし、ブスケツをなんだかよく分からない位置^^に置いたのだ。時にはセントラル。時にはラテラル。見かけ上のデフェンサである。
バルサはこのゲーム、これ以上ないスタートを切っている。いきなりの4分、チャビからのロングスルーパスを受けたアルベスが守備ラインの背後を取り、深い場所からダイレクトで折り返す。そしてそれをノッているビジャ(3試合連続ゴール)がズバッと突き刺し、あっという間の先制点を奪ったのだ。
上々の滑り出し。だがアスレチックにはそれも想定内だったのだろう。彼らはプランを変更することなく、10人で守ってはカウンターのチャンスを待った。フィジカルで勝るバスク人に守備に専念されては、簡単に崩せるものではない。この日もバルサ戦士たちの動きは100%とはいえず、次の決定機到来には20分以上を要した。そしてそのビジャのバセリーナも、残念ながらクロスバーに嫌われている。きれいなシュートだったんだがなぁ(26分)。
一方のビルバオは、得意のカウンターで2度、チャンスを作り出している。まずは11分、独りプンタのジョレンテがエリア左で粘りを見せ、ピケを抜いてセンタリングを供給。ニアに飛びこんだスサエタのヘディングシュートは、辛くもサイドネットだった。そして36分、今度はガビロンドのクロスに、ゴール正面にてジョレンテが得意のヘディングを一発。やられた!という場面だったが、これは急きょ出番のピントが横っ飛びパラドンにて凌ぎ、事なきを得ている。第2守護神、よく反応したものだ。
ゲームは後半、別の顔を見せる。トケーロを投入し、攻撃のオプションを増やしたアスレチックに対し、バルサは何故だかギアを落とし、エラーからピンチを招くのである。49分、アビダルが不用意なボールをエリア内に送ってしまい、クリアしようとしたブスケツがファールを犯してペナルティが宣告される。これをイラオラがねじ込み、ゲームは振り出しに戻った。
逆襲を余儀なくバルサにとって、時間が多く残されていたのは幸運だったといえる。バルサはここから、チームの総力をあげ、困難なミッションの達成に立ち向かっていく。選手たちのプレーからは、なんとしても勝つ!という気迫が感じられた。そういう姿を、ファンは大好きである。
決定的ではないにせよ、試合に大きな影響を及ぼしたのは59分、メッシが変態的ジグザグドリブルによって単騎突破を仕掛け、エリア内で倒されたプレーだ。何故ペナルティじゃないのか!?笛を拭かなかったラミレス・ドミンゲス主審に対し、カンプノウは大いに盛り上がる。負けるなバルサ!観客席の応援に後押しされるように、チームのプレーにもキレが戻っていった。
そしてベスト時に比べればサッパリというほどのパフォーマンスであろうとも、仕事をしてしまうからメッシはさすがだ。77分、1点目と同じように、チャビからのボールを受けたアルベスがライン裏へと抜け出し、横方向へ折り返したところをニアに詰めたレオが一発。値千金の決勝ゴールを決め、マドリーの期待を打ち砕くのだった。メッシにとってこれが、復調への弾みとなれば良いが。
その後もバルサは守りに入って相手に選択肢を与えるという愚を犯すことなく、試合終了の笛がなる直前まで攻撃を続行。攻撃こそ最大の防御、を実践し、そのまま2-1で逃げ切った。タフな試合だったが、それでもしっかりと結果を出す。それがカンペオンとなるチームだ。
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