監督の信頼に選手が応え、きっちり逆風を押しのけた。
プジョルに続いてバルデス、チャビが怪我人リストに加わり、アルベスまでもが出場停止というこのマジョルカ戦。相性は悪くないとはいえ、ソン・モイシュでの試合は苦戦が予想され、事実、序盤はそういった苦しい展開となった。
ペップ・グアルディオラのドリームチームの同僚、ミカエル・ラウドルップ率いるマジョルカは試合開始から非常にハードにバルサに挑んできた。ピッチ上のあらゆる箇所でプラスを仕掛け、バルサに全く自由にボールを操らせない。欠場者(特にチャビ)の影響もあり、序盤はあっぷあっぷといったところだった。16分、コーナーで合わせたウェボのヘッドが、枠内に飛んでいたらヤバかった。
だが序盤の苦しい時間帯を乗り切ると、バルサは徐々にボールを有効に回せるようになっていく。じわじわと、メッシが存在感を現していくのである。ギガクラックは30分、イニエスタ(カピタン!)とのコンビネーションからのシュートこそ珍しく外しはしたものの、次のチャンスは逃さない。37分、ペップ絶賛のケイタから見事な浮き球パスが繰り出され、裏へ抜け出したレオが頭で浮かせたボールは、GKアワテの頭上をふわりと超えネットへ吸い込まれていったのだ。ラウドルップのパスをロマーリオが決めたかのような、そんなゴールだった。
試合後にペップが「かつてないほどにゲームに入るのに苦労した」と語った前半だったが、このメッシのゴールによってチームはホッとひと息。さらにハーフタイムを経て、本来の姿を取り戻すのである。
後半、バルサは前半とは見違えるような出来だった。本当の意味でボールを支配し、マジョルカがボールを追おうとしても、バルサはその圧力を、ひらりひらりとロンドによってかわしていった。じりじりと自陣深くへ押し込まれていくマジョルカ。そして同点ゴールを狙いたい彼らがラインを上げたとき、その瞬間を待っていましたとばかりにバルサは必殺のパスをライン裏へと送り込むのだ。
57分、ブスケツのスペースへのパスにビジャが抜け出し、アワテとの1対1にも落ち着いて勝利。グアッヘは無人となったゴールへボールを流し込み、スコアは0-2となった。
このビジャの2点目で事実上勝負は決着したが、さらに"ここに我あり!"とアピールをしたのがMVP三銃士の最後のひとりペドロである。66分、この日は主に左サイドを戦場としていたペドロがエリア左角あたりから、豪快なミドルをぶち込んで見せるのだ。このシュートに意表を突かれたのは、アワテだけではなかった。観客もまた、度肝を抜かれるゴールだった。
余裕の3点リードを確保してしまえば、あとは4日後のバレンシア戦のことを考えればいい。グアルディオラはペドロとビジャをベンチに下げ、フレッシュなアフェライとボージャンをピッチに解き放った。73分にはアフェライのパスを受けたイニエスタがエリア内に迫力ある突破をみせたが、シュートは惜しくもサイドネットに刺さっている。
バルサはその後もマジョルカにチャンスを作らせることなく、85分にはモントーヤがトップデビューを飾るというおまけつき。序盤は苦しみながらも最終的には3ポイントを確保し、王者の風格を見せ付けた。
他方、この直後のリアソールではマドリーが風格を示すことなく、リアソールにて予想どおりに失敗。苦手のフエラでやっぱりポイントを落とし、バルサとのポイント差が再び7へと拡大している。
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